国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年11月6日 【教育基本法に関する特別委員会】

武正委員 
 民主党の武正公一でございます。

 教育基本法の改正案について質疑を行わせていただきます。お手元には、理事会のお許しを得て、資料を配付させていただいております。

 きょうは、大きく分けて二つの点で質疑を行ってまいりたいと思います。

 一つは、いじめ、未履修の問題、その根源に、責任の所在が不明確である、これがあるのではないのかというふうに考えておりますので、教育基本法改正案を出されておりますが、やはりこの点が今改正案では解決し得ていないということを指摘すると同時に、特にそれは、民主党案が、各地方公共団体の首長さんに権限と責任を与える、いわば分権、一方、政府案は、引き続き中央集権、こういうような対比の中で、やはり権限、責任の所在を明らかにするべきであるということで、まず第一点。

 そして第二点は、民主党案では十四条で職業教育ということをしっかりと条文として項目を設けておりますが、政府案では二条一項二号で勤労を重んずる態度を養うということで設けられている限りでございまして、安倍内閣にあっては、再チャレンジを掲げ、ニート、フリーター対策を掲げている内閣として、この提出法案、やはり職業教育に関する項目が軽いのではないのか、こういった点を、今の現状を踏まえて質疑をさせていただきたいと思います。

 そこで、まず、資料をごらんいただきますと、これはもう既に文科省さんから提出をしていただいている資料でございますが、いじめを主たる理由とする児童生徒の自殺者数、平成十一年以降ゼロだよということでございます。

 二ページ目にはいじめの発生件数の推移が出ているわけでございますが、既に調査票で指摘をされておりますように、いじめについて、三項目、弱い者に一方的に、攻撃を継続的に、深刻な苦痛を感じている、これがいじめの条件である。あるいはまた、自殺者についての理由が、一つだけ選択しなさい、あるいは、理由が不明な場合はその他の欄に記入することということで、平成十一年以降、小中高、自殺者はゼロというお手元の数字でございますが、その他については、平成十一年自殺された方の中で、百六十三名がその他。以下、百四十七名中八十一名、百三十四名中七十九名、百二十三名中七十三名、百三十七人中八十七人、百二十六人中七十九人、百五人中六十二人というのがその他の項目ということでありまして、これは調査のやり方の改善がこの平成十一年から今日に至るまでなぜできなかったのか、こういったところがやはり指摘をされるわけでございます。

 既に、文部科学大臣におかれましては、いや、文部科学大臣というのは都道府県教委に対して指導助言しかできないんだよ、こういうような答えに終始をされておりますが、なぜ、この八年間、自殺者ゼロ、こういう答えに対して、いま一度調査の精査あるいは項目の精査、これができなかったのか、御認識を伺いたいと思います。

伊吹国務大臣 
過去のことについては、私は就任して一カ月でございますから詳しくは、批判することはできませんけれども、現時点で見ると、この数字がやはり実態を必ずしも的確にあらわしているものではないと私は思います。

 民主党の皆さんも、このいじめの問題が大きく報道されてからいろいろ御質問をいただいていますが、当時は、やはり政治そのものがこのことについて今ほどみんなが熱心に思っていなかったということは私は正直に受けとめて、そして、今先生からるる御質問があった調査票のあり方なども、自殺というのは多様な要件でできるものであるだけに、今のような調査票をやっていれば、いじめによる自殺の数というのは当然少なく報告されてくると私は思います。

 ですから、もちろん、きのう私はあるテレビに出て、いろいろな立場の方の話を伺いますと、やはり学校として恥をかきたくないとか自分の立場がどうであるとかというのが学校の立場あるいは教育委員会の立場。しかし、そういうことを言っている中で、子供が苦しむだけでございますから、調査のやり方だとか何かについては、謙虚にやはり文科省は受けとめて、少し質問書の内容も、今先生がおっしゃっていただいたようなことで、その他に丸がつかないように、考えてみろということを今指示してございます。

武正委員 
きのう私もテレビを拝見しました。都道府県教育委員会に言うことはできるとぽろっと言っておられましたが、指示をしているということは、もう指示をしたということですか。

伊吹国務大臣 
私が指示をしたということは、都道府県教育委員会に出す調査書について少し考えてみろ、調査書の書き方を考えてみろということを文部科学省の担当者に指示したということです。

 申すまでもございませんが、先生はよく御存じだと思いますが、指示権は一切文部科学大臣にはございません。

武正委員 
この点は、この後ちょっとやりとりをしたいんですね。

 さて、今のやりとりの中で、みんなが余り関心を持っていなかったというようなことをぽろっと言われたんですが、私はやはりそれは所管大臣としていかがなものかというふうに思います。

 国会は、いろいろな関心事項、外交、安全保障から経済その他、たくさん多岐にわたっておりますので、それぞれ所管委員会もありますし、また、その時々に応じて、それぞれの公党が重視をする政策というのはやはり変化をしてくる。ただ、一時このいじめ問題が大変な関心事となって国会が取り組んだ、それが多分七、八年前のころかなというふうに思っております。それが証拠に、文科省もこのいじめに関する件数の調査の方法を変えている、ちょうどその時期に重なるわけでございます。

 ですから、やはりそれは所管大臣あるいは所管省庁がしっかりとそれを見続けて、絶えずいじめに関する行政を改めていく、これが当然でありまして、それができていなかったことを国会あるいは世間の関心ということで言われるのはいかがなものかというふうに思うわけでございます。

 そこで、今の点でありますが、地方自治法、御案内だと思うんですが、二百四十五条の四の第一項に、それぞれの所管大臣はという項目がございます。「その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。」これがあって地教行法というものがあるわけなんですけれども、私は、これを見る限りにおいても、文部科学大臣がそれぞれの普通地方公共団体に対して大変強い権限を持っている。

 重ねて、地教行法では、指導助言と言われますが、指導、助言、援助、これは四十八条一項。そして、三項では、都道府県教育委員会に対して指示。私は、指示というのも強い権限だと思っています。都道府県教育委員会を通じてという仕組み、これが三項。一項は、直接地方公共団体に対して。市町村にも直接できるよというのが一項、三項は都道府県教育委員会を絡ませてという、この二つのやり方があるということは教育行政の一つ特徴だというふうに思いますが、地方自治法でも、最初触れましたように、二百四十五条の四第一項で、直接、助言そしてまた勧告、勧告というのは非常に強いと私は思います、資料の提出を求めることができるということです。

 さらに、五十三条では、文科大臣、都道府県教育委員会は必要があるときは調査ができると。この調査権限というのも、直接それぞれの市町村長、市町村に対してできるわけでございます。それがさっきの一番目の仕組みでございます。そして、第二項では、都道府県教育委員会を絡ませて指示ということでございます。五十四条二項では、文科大臣は報告の提出を求めることができると。

 私は、地方自治法に加えて地教行法でもこういった強い権限があるというふうに認識をしておりますが、この点、指導助言しかできないんだというような文科大臣の相次ぐ答弁はいかがなものかと思うんですが、御所見を伺いたいと思います。

伊吹国務大臣 
法律構成にかかわることでございますので、委員長のお許しをいただいて、後ほど政府参考人から法律の条文は説明をさせたいと思いますが、もう先生すべてわかって質問しておられるから、ありていに言いますと、今先生がおっしゃった地方自治法による権限は、平成十一年まではきちっと教育委員会に関する諸法の中にあったんですよ。それを、地方分権の法律を通す中で、地方自治法へ移しちゃったわけですね。

 なぜ移したのかというのは、地方分権のためです。移したという立法府の基本的なそのときの立法意思を考えると、これは、今先生がこういう事態になったからそういうことをおっしゃいますが、では、今度その自治法の規定を発動して、私が内閣総理大臣にまず要請をして、内閣総理大臣が地方自治体にそのことを言った場合に必ずここで起こることは、中央の国家権力の教育への介入だという反対論が必ず起こります。必ず起こります、それは。ですから、文部科学省の人間も、やはりそのあたりは非常に慎重に慎重に運営している。

 だからこそ、私自身も、何でこんなことができないんだ、もっとしっかりやれということは再三省内では言っておりますが、この十一年の地方分権法の改正法の趣旨からいきますと、やはり、かなりこの運用は慎重でなければならないというのが私の考えです。

武正委員 
平成十一年は自民党政権のときの法律でございます。また、地方分権を進めるということは、伊吹大臣においてもやはり変わらない考えだというふうに私は理解をいたします。しかも、一括法の中で例えば教育長の承認事項などが外れたにしても、他の省庁と比べて、私のこの六年間の国会での感想ですが、警察行政と文部科学行政ほど中央集権的な行政はないな、これが私の印象でございます。

 しかも、それが二つのルートで、今言ったように、直接市町村長、市町村に指導、助言、勧告、援助ができるというルートと、間に都道府県教委を絡ませるルート、こっちは指示であります、二つのルートを持ちながら、やはり文部科学省の教育行政というのは、中央の意向が地方に大変しっかりと伝わる、こういった仕組みになっている。例えば全国の市長会がそのことを認識していて、だからこそ教育委員会の置く、置かない、これは選択制にしてほしい、こういう要望を出しているわけでございます。

 ですから、先ほど、首相にお願いして首相からやってもらうとか、国家統制に当たるのではないのかという疑念を生じるということでしたが、私は簡単なことを言っているのであって、このように七年間いじめによる自殺者がゼロということが出ていて、それがなぜ文部科学省が、おかしいな、もう一回調査をやり直ししようよ、あるいはこういった形でどうなんだいということをこの間やってこなかったのかということを指摘しているわけでございます。

 今も、省内では命じたということでしたけれども、私は、速やかに都道府県教委あるいはまた各市町村長に、それこそ調査を求めることができると地教行法でもうたっているわけですから、やはりこれだけ今関心のあるこのいじめの問題あるいは未履修の問題、なぜ文部科学大臣が先頭に立って直接聞かないのか、あるいは都道府県教委に指示をしないのか、これは大変疑問でありますが、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 
私は、就任してから、これはおかしいと思って、質問書の内容等を変えろということを指示したわけです。

 今までの歴代大臣も調査はしておるんですよ。調査はしておるんだけれども、学校が結局教育委員会に、先生の感覚からいえば違う事実を報告しているわけですよ。自殺の原因は多様にあります、それは。だけれども、自分たちの学校が悪く思われたくない、あるいは自分たちの立場を守りたい。教育委員会がうその報告をつかまされて、それを文部科学省はみんなもらって、そのままやっておるわけですよ。

 だから、先ほど指示だとか指導だとかという言葉がありましたけれども、行政をやる立場からいいますと、それは、警察行政は、本部長の任命権は国家公安委員会にあるわけですよ。ところが、教育委員会の場合は教育長の承認権まで奪われてしまっているわけですね。そういう状態で、調査をしていないなんということは、ちょっと私は困ると思いますよ。調査はしているんですよ。しているんだけれども、上がってきた書類が、結局、教育委員会がだまされた書類をそのまま集計して、だまされておるわけですよ、私から言えば、文部科学省がゼロという答えを国会にお出ししたり公表しているということは。

 だから、そこのところに、これが本当なのかもう一度チェックをしてみろとか、あるいは調査書を変えてみるとか、そういうことは大いにやるわけで、文部科学大臣として就任して一カ月の私が先頭に立って何もしていないというような御発言は、やはりちょっと私は不本意ですね。

武正委員 
ぜひしていただきたいから、こうして指摘をしておるんです。(伊吹国務大臣「それならそう言ってください。何もしていないということは」と呼ぶ)いや、何もしていないということは言っていないと、議事録を見ていただければわかると思います。

 さて、今の御答弁ですと、学校長が虚偽の報告をしている、こういうふうに受けとめたんですが、そのとおりでしょうか。

伊吹国務大臣 
私は、わざわざ前に言葉を挟んでおりますよ。先生の感覚からいえばゼロというのがおかしいということであれば、これは学校長が必ずしも原因を正確に把握せずに教育委員会に出してきている。それを各教育委員会がそのまま、調査をかけているんですから調査に対する報告として文科省へ持ってくる。その文科省はそれを集計して、ゼロということをやっている。

 だから、虚偽かどうかは、それは幾つもの要因があるわけですから、どの原因で自殺をしたかとかということは、見る人によってみんな違います。しかし、先生がおかしいとおっしゃったから、おかしいとおっしゃるから、先生の感覚からいえばと私は言っているわけです。

武正委員 
では、大臣はおかしいと思われますか。

伊吹国務大臣 
私は、現実を見る限りおかしいと思います。おかしいと思うから、調査書の変更だとか何かを指示しているわけです。

武正委員 
おかしいと思う大臣からして、なぜこうしてゼロというのが上がってくるのか、その原因はなぜだと思いますか。

伊吹国務大臣 
ゼロが上がってきたのは、それは私が大臣のときじゃありませんから、どういう理由で上がってきたか、それは、私自身、過去のことを推測してお答えすることはできませんけれども、大勢の人の意見を聞いてみて推測するに、先ほどから何度も申し上げているように、自分をよく見せたい、自分の学校は恥をかきたくない、そしてまた報告が上がった教育委員会も、御党から田島先生でしたか質問があったように、その教育長はかつて同じ仲間であったとか、いろいろなことが複合的にあるでしょう。

 しかし、私は、現実から見ると、このゼロという数字はやはり違うんじゃないかということを言っているわけですよ、事務局に。であるからこそ、先生がさっきおっしゃっていただいたように、調査書の書き方だとかなんかももう少し変えて出せよということを指示しているということです。

武正委員
伊吹大臣がおかしいと思われたその原因が、自分をよく見せたい、あるいは、そうした教育委員会も報告を受けても、それを、その方がいい、問題ができるだけ発生しない方がいい、こういったことだと言いましたが、文部科学省の責任というのはあるんでしょうか。おかしいなと思われた、このゼロという数字が上がってくるについての文部科学省の責任というものはいかがでしょうか。

伊吹国務大臣 
教育委員会の報告を、私は着任して一カ月しかおりませんけれども、私が見たって、それは大騒ぎになったから後講釈的に私はおかしいよと言っている立場で、大臣はずるいよとみんなに言われるかもわかりませんが、後講釈的に、私が見た、これだけ騒ぎになって見ている立場から言うと、おかしいと。それは、後講釈的に言えば、おかしいものを放置したのは責任はあるでしょう。もう一度調査をかけなかったとか、先生がおっしゃっているように調査書を見直さなかったとかいうことはあるでしょう。

 しかし、根本はやはり、責任を逃れて言っているわけじゃないんだけれども、今の法理からすると、余りにも現実離れした数字があるときに、各学校にまで手は入らないんですよ、文部科学省としては。ですから、これは人事権があるとかあるいは予算権があるとか、先ほど警察行政のことをおっしゃいましたけれども、県警本部長は国家公安委員長が任命する、実質は警察庁長官のところで人事が決まっていくとかということによって、ある程度の中央統制がある。しかし、同時に、地方自治体警察ですから、予算の大部分は地方に、地方議会の議決を経て行われるという仕組みになっているわけですね。

 ですから、私は、文部科学省には、後講釈で言えば、もう随分責任があると思います。それはもう全く責任がありますよ、こんな、事実と違うと私自身は思っているから。しかし、私自身はそう思っていますが、多様な自殺の要因の中で、大臣が勝手に思い込んであんなことを言っているけれども違うという意見の人もあるかもわからないんですよ。だから、そのときの報道の流れだとか世論の流れの中で、一義的に私は、文科省の役人を責めるのはちょっと気の毒だなと思いながら、調査書を直せよとか、ここはこうしなくちゃだめだ、今まで何でこんなことほっておいたんだと、総じて言えば、先生と同じ気持ちを持っているということです。

武正委員 
文科省に、そうしたゼロという答えが上がってくる方が都合がいいということが、もしかしたらあったかもしれないと私は思います。つまり、文科行政からすれば、あれだけ大騒ぎになって、いじめ問題に文科省が取り組んだ。さあ、調査しましたら、いじめによる自殺者ゼロ。これは文科省の責任を問われなくて済むな、文科行政うまくいっているな、こういったことで、それを許していたことがあったのではないかなというふうに、もしかしたらあるかもしれない。これは指摘をさせていただきます。

 改めて、先ほど触れたように、地方自治法では、大臣は、地方公共団体の事務の運営その他事項について適切と認める技術的な助言もしくは勧告、そしてまた資料の提出を求めることができるんですよ。そしてまた、地教行法では、繰り返しますが、指導、助言、援助を直接地方自治体に与える、あるいは、五十四条の二項では報告の提出を直接求めることができるんですよ。

 ですから、私は、こうした権限があるんだから、もう就任されて一カ月でございます、これだけ大きな問題になっていますから、文科省内での指示ではなくて、やはり直接、大臣として与えられた権能を発揮して、地方自治体あるいは都道府県教委、そこに資料提出、あるいは調査を速やかに行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

■伊吹国務大臣 
先生もやはり野党の中の政治家としてかなり経験を積んでおられるからよく御存じだと思いますが、この地方自治法による措置命令権というものが今まで発動された事例がございますか。一度もありませんよ。そして、これの発動の条件は、各所管の国務大臣から内閣総理大臣に要請をして、内閣総理大臣が発動するんです。

 ですから、このことの発動はやはり、権限があるからといって、なるほどいじめの問題の調査には有効かもわかりません。しかし、そのことを発動した途端に、そのことから起こるいろいろなマイナス面がたくさんあります。これは地方分権の趣旨とどういう関係になるのか、あるいは国の教育統制その他についてどういう御批判をこうむるのか。それをやはり、権限、権力というものを持っている者は副作用が生ずるということを恐れながら、きゅうきゅうとして、この太刀を抜かないからこそ値打ちがあるんですよ。

 ですから、今持っている法律の中の調査あるいは助言その他の権限を使っているわけでして、これは、先生を含め野党すべてが、この権限の太刀を抜いていいという国会の御意思があるのならともかく、私はそういうことはやるべきじゃないと思います。

武正委員 
同じように地教行法にそうした項目があるわけですね。そして、先ほど言ったように、地教行法で都道府県教育委員会に対して指示ができる、それから報告の提出を直接求めることができる。これも文科大臣が総理大臣を経由しないとできないことですか。

伊吹国務大臣 
いや、先生が地行法にあるとおっしゃるから私は申し上げたわけです。

 ですから、権限をどこまで使うかについては、何事だって長所と短所はあるんですよ。批判する方は短所のことだけ、これをやればこんないいことがあるよとおっしゃるけれども、必ずそれに対する反作用というのはあるんです。

 だから、行政を預かっている者は、副作用と効果、つまり、小泉改革だって効果と副作用は必ずあるわけです。批判する立場になれば、副作用だけの批判はできます。しかし効果が、だから、抗がん剤に副作用があるからといって抗がん剤を飲まないわけにはいかないわけですよ。抗がん剤を飲んだらその副作用を最小限に抑えるべきであって、抗がん剤が有効じゃないよ、抗がん剤をやめてしまえよという議論にはやはりならないんですよ。

 それがやはり行政を預かっている者のつらいところであり、現実的な判断の中でやっていることですから、先生のお気には染まないと思いますけれども、十分スピード感を持って、先生の御期待に沿えるように私は私なりに頑張ります。

武正委員 
そうであれば、きのうもテレビで発言されているように、都道府県教育委員会に対して指示、これは速やかに行っていただきたいというふうにお願いをしておきます。

 さて、ちょっとこのいじめ問題で時間を費やしてしまいましたが、お手元の方に資料を御用意しております。三ページ目、ごらんをいただきたいと思います。

 先ほど触れたように、民主党案は職業教育ということをしっかりと項目で打ち立てております。民主党案は、十四条、職業教育、「何人も、学校教育と社会教育を通じて、勤労の尊さを学び、職業に対する素養と能力を修得するための職業教育を受ける権利を有する。国及び地方公共団体は、職業教育の振興に努めなければならない。」。

 一方、政府案は、第二条一項二号で、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」ということで、この間、当委員会では、この職業教育について尋ねると、政府から、職場体験をキャリア・スタート・ウイークとして実施とか、スーパー専門高校、専門高校などにおける日本版デュアルシステム推進事業の施策を実施などが答弁で出てくるばかりでございますが、私は、先ほど冒頭触れたように、安倍内閣が、再チャレンジ、しかもニート、フリーター対策を掲げるのであれば、この教育基本法改正で、それこそ職業教育を条文にまでやはり打ち立てるべきではなかったのかなというふうに思うわけでございます。

 そこで、まず、学校におけるスクールカウンセラーについて、その実態について伺わせていただきます。

 スクールカウンセラーが、全国の一万校の中学校に配置をということで、今四千百四十人、スクールカウンセラーに準ずる者が千百八十一人、平成十七年度五千三百二十一人配置をされております。スクールカウンセラー四千百四十人のうち、臨床心理士の資格を持つ者が三千七百四十五人、九六%ということでございますが、ただ、この臨床心理士のスクールカウンセラーについて、やはり現場の教師からすると、満足度という点ではまだまだという点も指摘をされているわけでございます。

 スクールカウンセラー養成プロジェクト代表、都留文科大学心理臨床教室河村研究室の協力での平成十四年十月から四十七都道府県、一万四千人の調査によりますと、ニーズと満足感の乖離ということで、一番乖離が大きいのは、学校組織へのコンサルテーション、学校組織に対する助言ですね。二番目、暴力などの反社会的行動をする子供の問題。三番、外部の専門機関と連携するための窓口としての機能。四番、児童生徒及び保護者に対する講話、話をすること。五番目が、良好な人間関係のある学級集団の育成の仕方、あるいはLD、ADHDの子供の問題ということで、やはり現行のスクールカウンセラー、まだまだ現場の教師からすると満足感が満たないところがあるよ、こういった調査でございます。

 まず、文科大臣にこのスクールカウンセラーについてお話を聞きたかったんですが、ちょっといじめで時間を要しておりますので、この点は、文科大臣へのやりとりはまた後にさせていただきまして、財務省、副大臣でございますか、お見えいただいておりますので、お手元のこの資料、三ページでございますね、これは財務省がつくられた資料というふうに聞いております。財務省が平成十六年六月公表された予算執行調査、スクールカウンセラーについての調査を財務省がされております。これをお手元に資料としてお配りしておりますので、ごらんをいただきたいんですが、三ページ目でございます。

 ちょうど2の真ん中をごらんいただきますと、平成十三年度と十四年度の一校当たりの問題行動件数の減少率についての比較というのが、まず一番上に表がございます。この表を比べますと、スクールカウンセラーのみを配置する自治体は、配置校、未配置校、その減少率は余り変化がないのに対しまして、準ずる者を全体の三割以上配置する自治体は、配置校は三割減、未配置校は一七%減ということで、差が出ております。あるいはまた、その次は、それぞれのその配置率と減少率との相関関係。それで、一番下の表が、調査研究内容をどの程度活用しているか。都道府県内の他校との情報提供割合は一割にとどまっている。

 こういった指摘を財務省がしまして、右側に提言として、例外的位置づけとされているスクールカウンセラーに準ずる者、すなわち臨床心理士以外、もっと拡大すべきではないのか、あるいはまた、配置先でとどまっている情報をもっと活用すべきではないのか、こういったことを挙げているわけでございますが、これについて、財務副大臣、この点、間違いないのかどうか、そしてまた、こうした指摘を行って、その後どのようなやりとりを文科省とされているのかを伺いたいと思います。

田中副大臣 
お答えをいたしたいと思います。

 今委員の御指摘のとおり、私ども財務省が調査を行いましたところ、資料に示されたとおりの内容になったところでございます。

 もう既に委員御存じのとおり、スクールカウンセラーの制度については、極めて私たちは、いじめの問題であったり不登校の問題等について効果がある、このように認識をしておりまして、重点的に取り組んできたところでございます。

 数字の上でも、お話ありましたように、平成七年の三億円から今日は十八年四十二億円まで拡充をしてきておりますし、お話ありましたように、当初は百五十四校であったものが一万校、すべての中学校を対象にしてきておりまして、我々はその効果を大変重く受けとめてきたところでございます。

 確かに、この数字を見るときに、準ずる者の方が数字が高かったり、また、三割以上準ずる者がいる自治体が三〇・四というような数字になっておりまして、極めて私もこれを見ていろいろと考えるところ大でございました。少し考えれば、程度の重い学校にいろいろとカウンセラーが行っていたり、いろいろなことがあって、最初からハードルが高いところの数字が十分あらわれていないのかな、こういう思いもするわけでございますが、委員のおっしゃっていることは私はごもっともだ、このように思っております。

 私たちは、今まで、準ずる者の数字を、文科省さんは三割という数字で置いておられましたけれども、もう少し拡大してみたらどうだろうか、こういうふうなお話をいたしまして、私が仄聞するところ、四割まで拡大をされた、このように承っております。

 以上でございます。

武正委員 
先ほど触れたように、五千人で千人ですので、まだ二割にとどまっている、平成十七年度ですね、私は承知をしているわけでございます。やはりもっともっと拡大をしていくべきだということで、財務省からの指摘があったわけでございます。

 そして、きょうは厚労省もお見えでございますが、政務官に伺いたいと思いますが、厚労省もこの職業教育の充実ということで就職のミスマッチを解消しようと、希望するところになかなか就職できない、あるいは仕事を見つけるにもミスマッチがあるということで、第七次職業能力開発基本計画でキャリアコンサルティングということを打ち上げて、総合雇用対策、平成十三年九月二十日策定で、「五年間で五万人程度のキャリア・カウンセラーの養成を目指す」、こういうふうにうたっているわけでございますが、このキャリアコンサルタントについて、カウンセラーについては、今三万六千人、ことしで五万人の目標に達しなきゃいけないんですが、現行三万六千人ということで、まだちょっとなかなか難しいかなということも伺っておりますし、あわせて、キャリアコンサルタントの資格を取るキャリア形成促進助成金、これは当初厚労省さんは四億円つけたんですが、初年度三千万円、二年度目、八億六千万円つけたんですが、六千万円ということで、今八千万円のそうした助成金になってしまっているわけでございます。

 それこそ、厚労省さんがキャリアカウンセラー育成ということで旗を振りながら、なかなかそれがまだまだ道半ばである、こういうことを言わざるを得ないわけなんです。その理由は、文科省さんと厚労省さんの連携が実はされていない、この職業教育について。わかりやすく言うと、学校までは文科省、学校を出たら厚労省、でも、今やもう、学校を卒業して就職して、もう一回また学校に戻ってから就職するとか、非常に複雑な就職への過程をたどっておりますので、文科省、厚労省の連携が欠かせないというふうに思うわけなんです。

 ちょっと時間の関係もありまして、政務官に伺いたいんですが、キャリアコンサルタント研究会というのがあるというふうに伺いました。委員十八名で構成されておりますが、この人選、どのように人選を行っているのか。特に私は文科省との連携が欠かせないと思うんですが、例えば文科省にその人選をお願いしたり、例えば十八名ですから、半々、文科省と一緒にやっていたり、そういったことをしているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

菅原大臣政務官 
委員御指摘の、キャリアコンサルタント、五年間で五万人というこの計画、過去四年間、三万六千人の実績を上げてまいりました。その数からいうと、年度末までには四万八千ぐらいになるのかなと計算上では計算できるわけでございますが、さらに年度末に向けてしっかり頑張っていきたいと思っております。

 御質問の、このキャリアコンサルティングの研究会のいわば観点、そしてまた人選の方法ということでございますけれども、キャリアコンサルティング研究会は、平成十三年に、キャリアコンサルティングを担う人材養成の拡大等を目的といたしまして、この分野の学識者を中心に設置をいたしました。しかし、それだけではまだまだ足りないという御議論がございまして、現在、学識経験者以外にも、労使あるいは実務家の方にも御参加をいただき、この普及促進や専門性の向上に向けて御議論をいただいているところでございます。

 御指摘のありました厚労省と文部科学省との連携につきましては、現実問題、この研究会あるいはその下部の研究会におきまして、文部科学省からオブザーバーとして、あるいは推薦をいただいて、委員を募り、そうした方々にも積極的に御意見をいただいております。

 いずれにいたしましても、文部科学省と厚生労働省、さらに提携を深めて、この趣旨に沿うべく努めていきたい、このように思っております。

武正委員 
具体的な人数を伺いたいんですが、キャリアコンサルタント研究会、十八名の委員中何名が文科省の推薦として委員になっておられるのか。あるいは、キャリアコンサルティング普及促進委員会、委員十五名中何名が文科省の委員として推薦をいただいているのか、お答えをいただきたいと思います。

■菅原大臣政務官 
お答えをいたします。

 まず、キャリアコンサルティング研究会の方につきましては、文部科学省からの推薦、筑波大学の特任教授一名でございます。あわせまして、オブザーバーとして当然文部科学省からもおいでをいただいております。

 また、キャリアコンサルタント資質確保体制整備委員会につきましては、これは文部科学省からは御推薦いただいておりませんが、オブザーバーとしてやはり役所の方からもお越しをいただいて、議論を重ねているところでございます。

武正委員 
事前に事務方から聞いたら、キャリアコンサルティング普及促進委員会には、鹿嶋千葉商科大学教授一名、これは文科省から推薦いただいたんだというふうに聞いておりますが、いずれにせよ、十八名中一名、十五名中一名ということで、私は、もっと文科省さんが積極的に、厚生労働省さんがやっておられる、キャリアコンサルティングということで就職のミスマッチを解消しようというこの研究会に、もっとたくさん入っていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。

 伺うところでは、何か、文科省さんにお願いをしたんだけれども、どうも余り色よい返事がなくて、一名もしくはゼロということになったというふうに伺っているんですが、これは詳細は文科大臣も余り御存じないというふうに思います。やはりこうした点が、実は省をまたいだ職業教育、それこそ雇用のミスマッチ、あるいはこれからニート、フリーター対策にとって大変欠かせないというふうに考えるわけでございます。

 そこで、文科省さんが進路指導主事という、これは学教法施行規則五十二条の三で置いておられるわけでございますが、今現在、平成十七年、中学校で九千六百六十二名、高等学校で四千四百九十二名おりますけれども、この進路指導主事の在任期間を調べてみますと、平成十六年度で、中学校で一年目の進路指導主事が三五・六%、高校で二〇・六%、二年から三年在任をしている進路指導主事が中学校三四%、高等学校で三五%ということで、三年以内という進路指導主事としての在任期間が中学校で約七割、高校で五五%ということなんです。

 まず、大臣にちょっと伺いたいんですが、就職の七五三というのはお聞きになったことはございますか。ちょうど今、七五三のシーズンでございますので、伺いたいと思います。

伊吹国務大臣 
いや、存じません。教えてください。

武正委員 
中学、高校、大学を卒業して三年以内に離職する方の割合が、七割、五割、三割、これを就職の七五三と言われるそうでございます。

 すなわち、学校のときに、この会社に行こうということで、中学であれば進路指導主事の指導も受けたでしょう、あるいは高校でもいろいろ学校でセミナーがあったりして選んだその就職が、三年以内に離職する割合が、七割、五割、三割ということでございます。これは、やはり学校における進路指導あるいは職業教育がまだまだ不十分であるということだというふうに思うんです。

 そうした意味で、先ほどの進路指導主事が私は大事だと思うんですけれども、在任期間が短いんですね。三年以内が七割とか五五%じゃなくて、それこそもうちょっときちっと進路指導主事として勤められるようにすべきではないのかなというふうに思うんですが、この就職の七五三も踏まえて、中学校、高校における進路指導主事の在任期間について、大臣としての御所見を伺います。

伊吹国務大臣 
ちょっと教えていただきたい。よくわからないんですが、三年以内に離職する何が七割、何が五割、何は三割なんでしょう。それがよくわからない。

 例えば、大学を出て就職した人で三年以内にやめる人は何割とか、高校を出て何割とか、中学を出て三割とか、そういうことですか。


武正委員 
もう一度説明をいたしますと、中学を卒業して就職をした方の七割が三年以内に会社をやめている、高校を卒業して就職した人の五割が三年以内にその最初の就職先をやめている、大学を卒業して三年以内に三割がやめているということでございます。

伊吹国務大臣 
よくわかりました。

 今先生おっしゃった、中学で七割、高校で五割、大学で三割という離職は、進路指導が適切じゃなかったからやめた人も入っているでしょう。しかし、同時に、就職をしたけれども自分で新しいビジネスをやりたいという人もいるでしょうし、また、もう一度学校へ戻りたいという人もいると思います。いろいろ個人的な事情があると思います。

 しかし、おっしゃっているように、進路指導主事というのは、言うならば学校全体として、自分たちの預かっている個々の生徒の進路を適切に指導していくまとめをするような方ですから、できるだけやはり手なれた人がいいといえば、私はそれは間違いないと思います。

 しかし、先ほど来申し上げているように、学校の人事権がございませんので、文部科学省には。ですから、指導主事については、やはり手なれた人をできるだけ長く置いてもらいたいというような、今先生がおっしゃっておる指導というんですか、要請というのか、そういうことはやれないことはありませんから、今の御意見は受けとめさせていただきます。

武正委員 
進路指導主事について、この六年間ほど文科省さんとやりとりしているんですが、まずその実態把握をされていないということに驚くんですね。今言った、在任期間が三年以内だ、中学校七割、あるいは五五%という数字も、財団法人日本進路指導協会の数字でございます。

 先ほど来、調査の話あるいは主事の話がございます。やはり、子供たちの就職あるいは再チャレンジ、これを掲げておられますので、ぜひ、今、現行法で認められている進路指導主事、これを遺憾なく活用していただきたいというふうに思うわけでございます。

 そのときも、進路指導主事についてというペーパーもいただいたんですが、その出典は、昭和五十二年、文部省、中学校・高等学校進路指導の手引、進路指導主事編ということで、つまり三十年間、この中学校・高等学校進路指導の手引が、新しいものが出ていないんですよ。この分野が非常に弱いなというふうに、残念ながら言わざるを得ないんです。

 これは、速やかに現行に合わせて、先ほど大臣が言われたように、現行、産業構造も含めて非常に変わっております、あるいは、子供たちの意識も。やはり、この中学校・高等学校進路指導の手引をいち早く、三十年間そのままではなく、つくり直すべきだと私は思いますが、この点はいかがでしょうか。

■伊吹国務大臣 
ちょっと、私も細かな進路指導の、今の、五十二年から変わっていないというものの内容がどういうものか、まことに申しわけありませんが読んだことがございませんので、先生の御指摘を受けて、帰ってみまして、目を通してみたいと思います。

武正委員 
そこで、専門高校の現状と課題についても触れたかったんですが、先ほど少し触れたスーパー専門高校、あるいは日本版デュアルシステム、これをやっていますよということで、この委員会では答弁があります、職業教育について聞きますと。

 ただ、スーパー専門高校も、四年目を経て予算が二億円ということでございますし、日本版デュアルシステムに至っては、当初一億一千万円だった予算が、ことしは八千万円に減額をされているということもありまして、職業教育あるいは専門高校の充実強化、こういったところが、やっているよという割には、あるいは、職場体験五日間、中学校で義務づけているよといっている割には、予算面などでもやはり後退をしている。

 これは、教育基本法改正案にきちっと条文として職業教育というものを入れていかないと、大臣が言われるように法治国家ですから、法律、条文に基づいて行政は仕事をし予算をつけていきますので、私は、やはりここが民主党案と比べて残念ながら弱いな、こういうふうに言わざるを得ない点でございます。

 そこで、資料でごらんをいただきたいんですが、これは、資料の四、五、六、七に、NPO日本教育カウンセラー協会というところが、「教育カウンセラーの配置に関する趣旨」ということでペーパーをつくっております。五ページ目をごらんいただきたいと思いますが、ここに、「子どもたちに提供するもの」という、グラフというか表がございます。

 先ほど来話が出ておりますスクールカウンセラーというのは、臨床心理士が九六%ということで、いわゆる対症療法ということでいいますと、一番右側の、問題を抱えた子供たちに対する対応ということが主になってまいります。これは、アメリカで発達したガイダンスカウンセリング、発達心理学あるいは教育心理学ということでいうと、やはり、一番最初の一番、まずすべての子供たちに対して、それこそ文科省さんの言う生きる力、将来どんな職業につくのか、そうした進路、こうしたことも含めて、きちっとカウンセリングを行っていく必要がある、このように私は考えておりまして、過去、民主党は二度、ガイダンスカウンセラー法案ということで法案を提出してまいりました。

 これは、民主党の日本国教育基本法第十四条の趣旨に沿ったものでございます。内容は、学校教育法を改正して、「専門相談員は、専門的知識をもつて、教諭、養護教諭等と連携して、児童の心理相談又は進路相談に応じ、指導及び助言を行う。」これは、二十八条二項、栄養教諭の下に加えるということでございます。

 理由といたしましては、「小学校、中学校、高等学校等において、いじめや不登校等の問題等に対応するとともに、児童、生徒等が適切な職業選択その他の進路決定を行うための指導ができるようにするため、専門的知識をもって、教諭、養護教諭等と連携して、児童、生徒等の心理相談又は進路相談に応じ、指導及び助言を行う専門相談員を置くことができるようにする必要がある。」ためということでございます。

 こうしたスクールカウンセラーに加えて、やはり進路相談ということでこうした専門相談員を置くという考えについて、まずは文部科学大臣、そしてまた官房長官、それぞれ現在の進路指導あるいは職業教育への取り組み、あるいは先ほどお話がありました、厚労省さんと文科省さんとのそうしたある面引っ張り合い、こうしたことも踏まえて、こうした専門家を置くということについての御所見を伺いたいと思います。

伊吹国務大臣 
先生が御指摘になりましたように、現在、中学校と高等学校には進路指導を行うための進路指導主事というものを法定上義務づけております。これは学校の教員がこれに当たっているわけですが、その期間が長い短いの先ほど御指摘がありました。これはよく受けとめておきたいと思います。

 同時に、教員以外の人をここへどのように入れていくかは、まずはやはり教員のOBだとか職業の実績のある人とかいろいろな人を、アドバイザー役というんでしょうか、運用の妙を得てやはりまずやってみて、効果があるということであれば法律的な義務づけに進むというのが順序じゃないかと思っております。

 それから、文部科学省と厚生労働省との間にどういうやりとりがあったのか私はよくまだ存じませんが、先生のおっしゃっているようなことであれば、お互いによく話し合って、カバーできる範囲はカバーし合ってやっていったらいいと思いますから、余りセクショナリズムにならずにやらせるのが我々議院内閣制で入っている者の責務でございますので、それはよくわきまえておきたいと思います。

塩崎国務大臣 
今、伊吹大臣の方から、中学、高校で教員を充てて進路指導をやらせている、こういうことで現行制度が成り立っているわけでありますが、先生が法改正案を出しておられることはよくわかっているところでございます。

 今、教員を充てていることに加えて、各地方公共団体などがキャリアカウンセラーなどをこの任に充てるということもやっているわけでありますが、とりあえず、今のところ、政府として先生御提案のような形での法改正は考えておりませんけれども、先生御指摘のポイントは非常に重要であって、キャリアをどう、みずから築き上げるために相談をする人がいてくれるかということは大事だろうと思いますので、そういった点については工夫をやっていきたい、このように考えております。

武正委員 
効果があればという文科大臣のお話ですが、先ほどの財務省の総括調査票にあるように、いわゆるスクールカウンセラーに準ずる者、これによる効果がある、こういったこともありますので、ぜひこうした臨床心理士以外、そしてまた今盛んに、問題が起きてからじゃない、問題の前に対応しようという、そうした動きも教育関係者の間に進んでおりますので、キャリアカウンセラー、キャリアカウンセリングという点もぜひ取り入れていくべきだということを指摘させていただきたいと思います。

 最後に、お手元に、七ページの資料でございますが、これは私の選挙区でもあるさいたま市の小中学校で、人間関係プログラムというのを行っている、ロールプレーですね。こういったことを何で学校でやらなきゃいけないのというお話があるんですが、ここを見ていただくと、「週末遊ぶつもりで買ったゲームソフトを、先輩から貸してほしいと言われた場合」に、どういうふうに対応したらいいか、これはロールプレーでやるわけですね。

 ここに書いてありますが、「1状況をよく把握し、2自分の感情や考えをまとめ、3円滑に意思を伝えるための代案を示し、4トラブルなく関係を築く、という「四段階話法」を念頭に置きながら授業は進む。」と。

 こういったことをしなきゃいけないのかという御指摘もありますが、これは総合的学習でやっているようでありますが、ただ、やはり先ほどのキャリアカウンセラーの皆さんによれば、こういったこともしっかりと、私はキャリアカウンセラーは教諭の方がやっていいと思っておりますので、教諭の方がきちっとそうしたことを学ぶことによって、特別の時間でなくてもこういった対応ができるようにしていくべきではないかということも付言して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。
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