国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年11月28日
【総務委員会】「地方分権改革推進法案に関する質疑」議事録

武正委員 民主党の武正公一です。地方分権改革推進法案、総理出席のもと質疑を行わせていただきます。

 この法案の四条には、「地方分権改革の推進に関する国民の関心と理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。」こういう条文がございます。そういった条文を踏まえますと、きょう総理に出席をしていただいてこうして議論を行い、総理みずから先頭に立って、この第四条にうたうように、国民の理解増進のために地方分権改革を先頭に立って訴えていただきたい、まず冒頭、このようにお願いをしたいと思います。

 本法案に入る前なんですけれども、実はこの総務委員会では、NHKに対する命令放送について累次質問をさせていただいております。私は、放送法第三条の番組編集の自由に抵触するおそれがある、こういうふうに考えるからでございます。

 もちろん、拉致問題の解決、これに全力を挙げる、これはもう論をまつことはないわけでございますが、どうしても、放送、報道の自由、こういったものに懸念を感じるからでございまして、菅総務大臣とも、あるいは下村官房副長官とも、累次この委員会で質疑をしておりますが、この懸念について、総理としてはどのように考えておられるのか、総務大臣の任命権者として、今回のNHK命令放送、個別的な事項変更についての御所見を伺いたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 ただいま武正委員が述べられたように、今、北朝鮮において救出を待ちわびている被害者のために何をなし得るかという観点から、個々おのおの、いろいろと努力をしているわけであります。その観点から、NHKへの命令放送も含めて、できる限りの対応をしていきたい、こう考えたわけでございます。

 ただいま御指摘になられた報道の自由、表現の自由とのかかわりでありますが、放送法第三条においては、法律に定める権限に基づく場合でなければ何人からも干渉されない旨規定されていますが、今回の命令放送の事項変更は、同法第三十三条の定める権限により、電波監理審議会への諮問など、放送法に定められた手続に従って適切に私は行われたと認識をいたしております。

 いずれにせよ、最初に申し上げましたように、表現の自由、報道の自由は極めて重要である、このように認識をしておりますから、当然、番組の内容自体に踏み込むということはない、このように承知をいたしております。

武正委員 今回、電監審への諮問そして答申、そして翌日の命令、事項変更ということでございますが、ただ、電監審自体も会議の内容は公開されず、また議事録も、きょうになってもいまだできておりません。この間、総務大臣は速やかにということを言われましたが、もうそれこそ三週間以上経過をしております。こういった大変クローズドな審議であるということもぜひ御認識をいただいて、これは民主党がこれまでも二度国会に提出をしております。今総理が言われたように、放送の自由、報道の自由を守るためには、独立した国家行政組織法三条の行政委員会が必要である、そこが電波の許認可、放送の許認可、あるいは電波をどのように使うのか、こういったことを決めるべきである、こういったことを提出していること、これを指摘をさせていただきたいと思います。

 また、それこそ二〇〇三年秋の総選挙後、総理は幹事長として、当時テレビ朝日に対して、ニュースステーションでの報道内容をめぐって、BPO、BRCに対して申し立てを行い、そしてまた、その間、三カ月から四カ月、自民党議員はテレ朝には出演をしない、こういったことを当時責任者として担当されております。そのとき、自粛を解いて番組に出られたときに、報道の自由に対して権力側は謙虚になくてはならない、こういうふうに述べたと報じられております。

 まさに、今総理が言われたように、やはりこの点については、放送法第三十三条は確かにいいんですが、放送法三条に抵触するおそれがあるということで、私は、慎重な対応があってしかるべき、これを重ねて申し上げたいと思います。

 そこで、既に下村官房副長官からも、拉致問題は内閣の最重要課題である、総理みずから本部長になって取り組んでおられるというお話でございますが、この地方分権ですね、地方分権改革は安倍内閣にとって最重要課題の一つということでよろしいんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をいたしましたように、地方分権を行うことによって、地方みずからが責任を持って、また意欲を持って地域づくりを推進していく、地域の活力に結びついていくと思いますし、またそれこそが、地域の、地方の未来であろう、このように私は思います。

 そのために、この地方分権というのは、これは待ったなしであり、私の重要課題の一つであるということは申し上げておきたいと思います。

武正委員 前回、下村官房副長官も、最初は最重要課題の一つですねと言って、うんとうなずいたんですが、その後の答えで重要課題というふうに後退をされたものですから、再度最重要課題の一つですねと確認をして、しっかりと、そうだと言っていただいたんですが、今総理は重要課題と言われたんですね。もう既に、最重要課題であるということは、拉致問題の解決、それから教育再生ということで安倍内閣としては発表されているというふうに認識しておりますが、前回下村官房副長官に最重要課題の一つであるとはっきりと言明をいただいたんですが、この点、再度確認をさせていただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 最重要課題の一つであります。

武正委員 はい。しっかりと確認をさせていただきました。

 さて、そうした中の本法案でございますが、ただ、平成七年の法案と比較をしますと、地方への税財源の移譲について残念ながら後退したなという法案ととらざるを得ません。

 平成七年の当時は、「地方税財源の充実確保を図る」とはっきりと条文に書かれていたのが、今回は、「国と地方公共団体の税源配分等の財政上の措置の在り方について検討を行う」、こういうような形で、先ほど与党委員からも、三位一体改革での大変な中央省庁の抵抗と、こういったこともあったのか、後退をした今回の法案提出になっていると言わざるを得ないのですが、この点、安倍内閣として、最重要課題の一つ、地方分権改革にあって、地方への税財源の移譲、これは後退を余儀なくされたと認識してよろしいんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 まず、まったく後退をしていないということは申し上げておきたいと思います。

 本法案におきましては、事務事業をできる限り地方にゆだねるとともに、国の関与を縮小する方向で見直しを行う、そして、これに応じて、国庫補助負担金、地方交付税、国、地方の税源配分等、財政上の措置を検討する、そして、その結果を地方分権改革推進計画に盛り込むこととしているわけでありまして、このように、本法案の全体の規定や文言の具体性を見れば、地方税財源を充実する方向は明らかであり、私は、最初に申し上げましたように、決して後退したものではないということは明言をいたします。

武正委員 後退はしていないということであっても停滞では困るんですが、前進をしているということでよろしいでしょうか。地方への税財源の移譲はさらに前進をさせる、しかも、三年間の地方分権改革推進計画を立てているときもしっかりとその前進はとまらないのであるということでよろしいでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 この地方税財源の充実拡充につきましては、私が総裁選挙の際からも申し上げておりますように、来年の秋には抜本的な税制の改正を行います。そのときの論点の大きな一つとして、地方の税財源について、どのようにこれは拡充していくか、充実したものにしていくかという観点からも、この税制の改革を行わなければならないと考えております。

武正委員 ちょうどきのうですかね、地方分権改革推進の全国大会が憲政記念館で行われまして、総理は出席できず、官房副長官が代理で出られてあいさつ文を読んでおられましたが、そのときも、全国知事会会長を初め、このような御意見がありました。財政審の答申でしょうか、来年の予算編成に当たっては、それこそ税収が当初見込みよりも大幅に好調である、こうしたときに、国債の発行を抑えて、地方交付税もやはり削減すべし、こういったことを尾身財務相に提言した、こういったことはやはり問題である、地方交付税の維持、こういったことがその大会でも決議をされております。

 私も、総務委員会に以前三年半所属していたとき、片山元総務大臣とのやりとりもありましたが、交付税特会、その借り入れが今や五十三兆円になっております。それは、財政が非常に厳しい中で交付税の総額確保のために借り入れを特別会計でふやしてきた、こういった経緯が実はございます。そういった意味では、やはりこの特会の借り入れを返していかなきゃいけない。こういったこともありまして、単に交付税を削って国債発行額を、今報道では二十五兆円とかいうような報道がありますが、国債の発行額を下げればすべて財政的に規律がとれているというわけでもないし、まして国と地方のあり方を考えていけば、今回の財政審の答申はいかがなものかというふうに思うわけでございます。

 そこで、この地方分権について、前回は事後検証というものがやはり弱かったというふうに私は思っております。四百七十五本一括法の改正後の検証というものも行われておりませんし、また、委員会は、前回は五年を一年延長した六年、今回は三年で失効でございます。また、本法案では、総理の勧告遵守義務もなければ、勧告を国会に報告する義務もありませんし、旧法の第十条の計画の施策の実施状況の監視という、先ほどチェックということを総理言われましたが、この委員会がチェックする権能も今回の法案にはなくなってしまっております。

 ですから、私は、この法案が成立後、委員会が立ち上がったら速やかに、そのさまざまな勧告、そしてまたそれを実施していく、あるいは今の状況などの事後検証が必要だというふうに考えますが、これについて総理の御所見を伺います。

○安倍内閣総理大臣 この法律によりますと、本法案が成立をして失効するまでの三年間に集中的かつ一体的に地方分権を推進していくことになっております。その後、今回の改革によって講じられた措置による効果も含めて地方分権改革の推進状況については、今委員が御指摘になられましたこの検証は極めて重要でございますので、検証を行ってまいる考えでございます。

武正委員 そういったことを、今回の委員会立ち上げと同時に事後検証を進めていくということでお願いをしたいと思います。望みたいと思います。

 そこで、今、政府には、構造改革特区本部、地域再生本部、それから都市再生本部、中心市街地活性化本部、こういった地方にかかわる本部が四つある。林副大臣に前回おいでいただいたときも、それこそ内閣府に入ってびっくりした、こういうようなことを率直に述べておられましたが、やはりそれを集約していく必要があるだろうというようなことも言っておられます。

 また、構造改革特区については、来年通常国会に新法を出したい、こういうような政府の意向も既に発表されておりますが、そこにやはり分権の視点を入れていくべきであろう、こんなやりとりも林副大臣と前回しております。そういった意味では、今回のこの地方分権改革推進委員会の立ち上げと同時に、その残りの四つの本部とのやはり整合性、連携あるいは統合、こういったものを図っていく必要があるんではないかと考えますが、この点について総理の御所見を伺います。

○安倍内閣総理大臣 こうした内閣府に今置かれている本部でございますが、その本部ができたときにはそれぞれ理由があるわけでございまして、特区については地域を限定して規制の特例措置を講じる、あるいはまた、地域再生は省庁横断的な交付金や地域に貢献する株式会社への課税の特例等を通じて地域の独自の取り組みを支援するというものでございますが、しかし、もちろん、お互いに連携をしていくことが重要であろう、このように思います。また、もちろん、この構造改革特区を生かして地域の再生をしていく、いわば特区というのはそのツールの一つにもなるわけであります。

 一方、この構造改革特区というのは、改革を進めている極めて重要な柱、また、やはりそれも構造改革を進めていくツールの一つでもあり、我々も重要視をしているわけでございまして、それを一緒にすることによって重要性が薄れる危険性も他方ある。

 そういう中で、常にこれは目配りをしながら、これは合体させた方がもしかしたらいいのかもしれないということは頭に入れながら、構造改革を進めていく、あるいは地域活性化を進めていくためにはどういう体制がいいかということは常に検討をしていかなければならないと考えております。

武正委員 地方分権改革推進委員会が立ち上がっても、三年でそれは役割を終えます。また、前回も、地方分権推進委員会を六年間、そうした意味では存続をして計画を練り上げていった。そして、それが一括法につながっていったわけでありますが、委員会後の体制というものがやはり必要だと思うんですね。

 今言われた四つの本部は、いずれも本部長が総理であり、そして副本部長が三名から四名。拉致対策本部については副本部長は官房長官でありますが、そして、先ほどの四つの本部は、全閣僚が本部員、メンバーである。こういうような強力な全省庁挙げて地方分権改革推進をというような体制が私は他の四つの本部に倣って必要だというふうに思います。こうした本部をきちっと立ち上げて、その分権改革推進委員会が三年でそれこそ役割を終えた後のそうした体制づくり、それはもう今から同時に本部を立ち上げていい。先ほどの地方分権推進法あるいは一括法についても事後検証がきちっと行われていないということにもかんがみて、すぐ本部をつくり上げるべきだというふうに思いますが、総理がみずから本部長になってそうした本部を立ち上げる、そうした御決意、御認識を伺いたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 この地方分権改革の推進については、政府が一体となって集中的に、強力に推し進めていくことが必要だろう、このように思います。その中においては、内閣が、そして私がリーダーシップを発揮していかなければならないと認識をしています。その中で、どういう組織がいいのか、そういう観点から検討をしてまいります。

武正委員 地方分権改革推進委員会は、皆さん民間のメンバーでございますし、前回もやはり、先ほど与党委員からあったように、地方分権推進一括法のときも大変中央省庁の強い抵抗に遭ったわけでございますので、その轍を踏まないためにも、今度は、総理みずから本部長になった強い、そうした推進委員会をバックアップする組織をつくっていただくよう、これもお願いをしたい、望みたいと思います。

 さて、先ほど、地方の首長の逮捕あるいは辞職、これについては、総理からそれに対する考え方は述べていただいております。既に、二十四日の知事会でも、先ほどのようなことを全国の知事を前にして述べておられることは報道でも承知をしているわけでございますが、では、具体的にどうするかということでございます。先ほど、チェックあるいは議会というお話もございました。

 今回の法案の七条では、行政の公正確保、透明性向上、住民参加の充実、これを地方公共団体が実現しなければならないという項目がございます。そして第二項では、国はそれを支援するんだという項目があるわけでございます。先ほどの議会改革なども含めて、地方公共団体の統治ですね、それこそ内部牽制、外部監査、ガバナンスという言葉もございますが、これをやはり七条の二項にあるようにしっかりと国が支援する、これを総理として行うんだ、これを言っていく必要が、それこそ地方自治体に対して国の取り組む姿勢として必要だと思うわけでございますが、この点については、御所見いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 まずは、こうした不祥事に対する取り組みについては、基本的にはやはりその地方自治体が、地方自治という精神のもとに、みずからがしっかりと対応していくことが大切ではないか、このように思います。

 各地方公共団体において、情報公開の徹底等により透明性の向上に努める、また行政運営をチェックする立場にある議会や監査委員会等がその権限を確実に行使するなど、その自律機能が十分に働いていくことが重要であろう。つまり、国がまず出向いていって、国がいわば権力の行使を行う、くちばしをまず入れる、指導するというよりも、まずは地方自治体そのものが、地方自治の精神のもとに、みずから自浄機能をこれは生かしていかなければならない。そして、今申し上げましたような、そういう整備を行っていく必要、あるいは効率あるものにしていく、既にある仕組みを実効あるものにしていくという努力をしていくことが大切だろう。しかし、当然そういう努力に対する支援は国がしていかなければならない、このように考えております。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

武正委員 まずは分権であるというようなお話もいただいたわけでございますが、ただ、今、全国の知事の出身省庁を調べますと、四十七都道府県のうち二十六の知事は中央省庁出身でございます。四十七分の二十六でございます。半分以上中央省庁出身。内訳は、旧自治省十五、旧通産省七、旧建設省二、旧農水省一、旧文部省一ということでございます。そしてまた、二十四の都道府県の財政課長は旧自治省出身でございます。つまり、四十七都道府県の半分が中央省庁出身者、そして半分以上の財政課長が旧自治省から地方自治体に出向している、こういった現状。

 やはり地方分権がまだ道半ばであるゆえに、こうした国から、中央省庁から知事をあるいは財政課長をということが現実に行われているわけですので、これはやはり中央省庁も改めるべきところは改めなきゃいけない。国の関与を減らす、あるいは地方支分部局、これをなくしていく、こういったことはもう地方分権推進法のときから出ているわけでございます。これが実はまだできていないということがこの知事の現状、財政課長の現状になっているわけです。

 知事があるいは財政課長が半分以上中央省庁あるいは自治省から占められているということについては、総理としてどのようにお考えになりますか。

○安倍内閣総理大臣 知事の選任に当たっては、選挙において都道府県の有権者が決定をするわけであります。その経歴が中央官庁の出身であるということも含めて、これは情報が開示をされて、その結果選ばれているということではないでしょうか。

武正委員 地方分権が進んでいないために、中央省庁から知事を、あるいは旧自治省から財政課長を、こういった傾向があるということでありますので、ぜひ七条二項に基づいてしっかりと支援を国としてしていただきたい、このように思うわけでございます。

 さて、お手元に資料を配らせていただきましたが、地方自治体しっかりせいと総理はおっしゃられましたが、では国はやっているのか、こういう話でございます。六月十三日、官房長官として、それこそ随意契約の見直し、これを徹底されました。随意契約についての見直し状況、公益法人についての見直しは、それぞれ省庁で取り組み状況は既に発表されておりますが、それこそ民間契約についての見直しについてはまだ道半ばでございます。これについては、中央省庁の五百万円以上の契約の七割以上が随意契約であった、しかも合い見積もりは一切とっていない、こういったやりとりを経て、一般競争入札が原則である、そして随意契約の見直しをということをみずから官房長官として指示した。そして、新内閣でそれを当然受け継いでやっていただきたい、時間の関係もありますので、これは要望とさせていただきます。

 そして、お手元の、人事管理についての、九月十五日、中馬前大臣の、いわゆる天下り二年規制撤廃ということでございますが、私は、これはとんでもない提案だというふうに思っております。既に与党が平成十六年六月九日にもこの前段となるものは提案をしておりますが、内閣への事前報告、チェックなどを求めておりますし、二年規制、五年ルールなどの撤廃を与党も求めておりません。それが今回こうした形で出てくることは甚だ遺憾であるというふうに思うわけでございます。

 本来であれば、総務大臣に人事院の天下り二年規制をどう評価しているのかを聞きたかったんですが、時間の関係もございますので、総理に。

 この中の1、2、3、この項目でございますが、今回の二年規制撤廃をする前提として、「再就職ルールは廃止する。」その条件として、「1自らの職務に密接に関係する企業に対して、現職国家公務員が自らの再就職の打診、依頼等を行うことを禁止する」。「2再就職後の元国家公務員について、退職前一定の期間在職していた機関に対し、退職後一定の期間、就職先企業に関する契約・行政処分につき不正な働きかけを行うことを禁止する」。

 今さらこういうことを書かなければならないということは、では今こういうことはやっているのか、横行しているのか。そして、個人個人の再就職の働きかけはもちろん、省を挙げてのいわゆる再就職のあっせん、こういったことが既に行われているということもありますので、私は、二年規制撤廃は言語道断だと思いますが、こういったことを今改めて提案するということ自体が、地方自治体が襟を正す前に、まず国が襟を正すべきではないか、このように考えますが、総理の御所見を伺いたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 この中馬前大臣の私案でございますが、この中馬プランにおきましては、この前提となる基本的な考え方ということについては、これは、現在グローバル化している社会の中にありまして、日本の政府の意思決定も迅速に的確な判断をしていかなければならない。そのためには、官民から優秀な人材を集めていく必要があります。そのためにも、ある意味では、人事の交流、より開いていくという姿勢、これをあわせて進めていく必要があろう、私はこのように思うわけであります。

 民間で経験をした人たちが、その民間の経験を生かして官において地域や社会や国に貢献をしていただく、あるいは、官において経験を積んだ人が一回民間に出て、その民間での経験、官での経験を生かしてさらにもう一度、では官でそうした経験を合わせて貢献をしていこうということも可能な、柔軟な人事的な対応もできることによって、より行政も活性化されるであろうし、いろいろな人材も集まってくる、そうした観点から、どういう仕組みにすればいいかということにおいての一つの提案だろう、私はこのように思うわけであります。

 その中で、当然、再就職後の公務員の不正な行為に対しては厳正なる対処をする、いわば行為規制を極めて厳しく行うと同時に、今までの年限、いわば再就職するまでの間の再就職ができない期間との兼ね合いをどうするかというのが一つの中馬さんのプランとして出てきているわけでございまして、これも一つの考え方として、また、やはりまだ国民のいわゆる天下りと言われるものに対しての厳しい目もあるわけでございまして、そうしたことを総合的にこれから検討していかなければならないと思っております。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 あした経済産業委員会で、官製談合防止法、ようやく民主党案、政府案両案審議となりますが、やはり官製談合と天下り、これが密接に結びついている。このことはもう申すまでもないわけでございまして、今のように総合的な検討ということを国が言っているようでは、とても地方公共団体に対して襟を正そうということは言えないということでありますので、国もみずからその襟を正していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。
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