2007年10月26日
【外務委員会 議事録】 
テロ特措法に係る日米交換公文について質疑

武正委員 民主党の武正公一です。

 大臣所信への質疑を行わせていただきます。

 高村大臣、外務大臣御就任おめでとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず、十月十九日の大臣記者会見から入らせていただきたいんですが、このときに大臣が、国際的に見ればまさに子供だましのことが要求されてしまっているから子供だましの議論に入ってしまったということもあるわけです、こういうように記者会見で述べておられまして、それが大きく報道されたところでございますが、この記者会見の真意をまずお聞かせいただけますでしょうか。

○高村国務大臣 予算委員会をずっと見ていていただいた方はおわかりだと思いますが、正確な言葉は覚えておりませんが、子供だましとか子供っぽいとか子供じみたとかいう言葉を最初に使ったのは、民主党所属の委員が、石破防衛大臣が油の使われ方について懇切丁寧、誠心誠意説明されているのに対し、石油はタンクの中でまじっちゃっているんだから、その三日間で使われちゃったというような、子供じみたというか子供だましと言ったかよく覚えていませんが、そういう議論はするな、こういうことをおっしゃったのに、言葉をおかりして言った、こういうことであります。

 そして、私は、疑点があればはっきり言っていただいて、その疑点についてアメリカ側に問いただすということはしっかりしなければいけない、こう思っております。ただ、いろいろな問題について、この油の問題だけじゃなくて、疑点もないのに、これただせ、あれただせ、こう言われても、同盟関係の中で、それで同盟がもつのかなというほどアメリカはいら立っている面があるという客観的な事実はここでお伝えをしたいと思います。

 そして、油の点について申し上げれば、イラク戦争が始まる前の月までに日本がアメリカの艦船に給油したのは、すべてテロ特措法に定められた範囲で給油しているわけでありますが、その給油したものは、アメリカがOEFもしくはOEF・MIOに使ったすべての油の約二〇%なんです。そしてその後、イラク戦争が始まった月から今日に至るまで日本が同じくテロ特措法の範囲で給油した油の量は、OEFもしくはOEF・MIOにアメリカが使った油の量の七・数%。

 アメリカ側の論理からいうと、OEF、OEF・MIOをやる範囲でもらって、そして自分たちが使った分の、イラク戦争が始まる前は大体二〇%ぐらい、始まってからは全体で七%ぐらいにしかすぎないので、それはもうそれでいいじゃないかというのが大体アメリカの量です。

 それで、我々はそれでは足りませんと。油を入れてから、例えば、例えばですよ、これから三日間OEFもしくはOEF・MIOに従事しますね、ですから三日分の油ですよと入れたとします。そうしたら、我々はそこまでやればいいだろうというのが我々の考え方なんです。

 ところが、民主党の委員がおっしゃったのは、タンクの中で油がまじっちゃっているから、その後数日たってからも、イラクの方に今度は任務で行ったので、物理的にその油だって使われているかもしれないじゃないか、そこを立証しろと言われれば、そこまで立証できませんというのがアメリカが国防総省声明で言っていることなんですね。

 私は、国際常識としても、あるいは法律的常識としても、その考え方の方が正しいと思います。物理的にまじっちゃっているから、この三日分ですよといって与えて、その三日分、確かにOEF、OEF・MIOにすればそれだけ使ったんだねと、両方の合意で使ったと言えば、私は、それは目的内使用だと当然思います。

 民法の初歩の講義をさせていただきますと、物には特定物と不特定物があるんですよ。不特定物で、同じ量のものをこれだけここに使ってくださいよといってそれだけ使えば、それはお互いに目的内に使ったなと了解されるというのは、法律の世界の常識だし世界の常識だと私は思います。そういう意味で申し上げました。

武正委員 米国がいら立っているという認識を持たれていることが確認できたことが一つ、私にとっては、やはりそれが外務大臣の認識なんだなと。米国といっても、政府、政府の中でも国務省、国防総省、あるいは米軍、米軍にも四軍ありますので、どのことを指しているのかということだと思いますが。

 ただ、会見では、国際常識に基づく大人の議論なんですよと、今言われたとおりですね、国際常識に反するのではないかと思いながら一々聞いて、石破大臣が答えている、三日間で使用した、イラクには使われませんよといったことを言っていますと。

 私がやはり問いたいのは、なぜ私どもが一つ一つの給油、その実態、これを把握しようと努めているのかということは、一にかかって、国会で法律として認めたその法律の趣旨に反しているのではないかという疑念があるからでございます。これはやはり国会として、法律を通した国会、そしてまた基本計画、二年ごとの見直しなど、その責任があるということでございます。

 そこで、お手元の方に資料を配らせていただいたんですが、二ページをごらんいただきたいと思います。これは、国際海事機関と国土交通省の調べということで、最近の海賊、船舶に対する武装強盗事件等の発生状況、全世界の発生状況でございます。年々下がっている。決してインド洋だけではないということもよくおわかりいただけると思います。

 まず、きょうも午前中のテロ特で大臣も、テロリストを何人捕まえたかなんて言われても困るんだよというようなことをいみじくも答弁されていますが、改めて、このOEF・MIOで、成果は外務省のホームページで出ているんですけれども、いわゆるテロリストを何人捕まえたか、お答えいただけますでしょうか。

○高村国務大臣 テロリストを何人捕まえたかというのは、明確に各国とも発表していないと承知をしております。

武正委員 OEF・MIOにおける具体的成果の例ということで外務省が発表している中でも、アルカイダへの関与の疑いがあり十名とか、疑いがあり乗組員十五名を拘束といった程度にとどめているわけでありまして、日本がここでこういうふうに書いてある実績についても、OEF・MIOのこの六年間の実態、実情、それを国会は検証しなければなりませんので、具体的な成果というものはやはりここでもう少し明らかにしていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 そこで、この表でありますが、先ほどちょっと冒頭触れたように、全世界的に、こうした海賊、船舶に対する武装強盗事件等の発生状況が減っている、この表を見られて、またインド洋だけではないということも見られて、外務大臣としての御感想をお聞かせいただければと思います。

○高村国務大臣 世界的に武装強盗事案が減っているというのは大変いいことだ、こういうふうに思っておりますし、例えばマラッカ海峡なんかについては、日本もその地域の国にいろいろ支援をしたりあるいは協力したりして、海賊等を取り締まってもらっているわけであります。そういうそれぞれの世界の各地でいろいろな努力が行われて武装強盗事件が減っているんだと思いますし、インド洋においても、OEF・MIOみたいなものも一つの大きな抑止力となってこういうものも減っているとすれば、それもそれでまたすばらしいことだ、こういうふうに思っております。

武正委員 前後逆になりましたが、テロ新法について、福田総理も、シーレーン防衛との関係について、直接的にこの新法は関係ないけれども、今のような、いわゆるシーレーン防衛という言葉は使いませんが、石油の供給、日本に対するルート、やはりその安全確保に非常に寄与しているんだ、だからこの給油は続けたいんだというふうに言っていますけれども、果たしてインド洋などでOEF・MIOが直接的にこのシーレーン防衛にかかわるのかどうかということは、やはりこの表を見る限り、今いみじくも外務大臣がおっしゃったように、二〇〇一年に日本が提案をしたアジア海賊対策地域協力協定、ReCAAP、あるいはまたSUA条約、これは百四十四カ国が参加をしておりますが、二〇〇五年議定書、これは、生物化学兵器などの船舶上の使用など及びテロ関連条約において規定される犯罪を行った者を輸送するについて、それを取り締まろうという議定書でありますが、こういった国際的な枠組み、あるいは、先ほど言われたように、海保が世界的なそういう海上警察と連携をとっている、そういうような総合的な仕組みで、日本の石油の、主に公海の航行自由、これがやはり担保されているというふうに見た方がいいのではないかと私は考えるんですが、この点、大臣の御所見、いかがでしょうか。

○高村国務大臣 それぞれの海域でそれぞれの方法で海賊対策等をやっているわけでありますが、OEF・MIOの場合は、直接の海賊対策というわけでなくて、むしろテロ対策ですね。それは結果として海賊対策にもなっている。

 まさに、アフガニスタン、パキスタン、そのあたりはいわゆるアルカイダなんかが潜伏しているところでありますから、海上のテロもされやすいところでありますし、そして、海賊よりもテロの方が、やる方からすれば易しいというのがある面ではあるんですよ、ただ攻撃すればいいわけですから。海賊というのは、例えば船を乗っ取ったら船を処分しなければいけないという非常に困難な話でありますが、ただ相手に打撃を与えればいいというのがテロですから。

 そういう意味で、OEF・MIOが、事実上、インド洋をテロリストの自由の海にしない、そして我々にとって平和の海にする、その効果というのは大変大きい、こういうふうに思っております。

武正委員 テロリストという定義が案外まだまだ定まっていないこと、また、日本の公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律では、テロリズムに関連する規定として、航行中の船舶を沈没させ、もしくは転覆させ、またはその航行に危険を生じさせる行為などが、あるいは警察庁組織令第三十九条で、国際テロリズム対策課においての事務の所掌などが書かれている程度で、テロリスト、テロリズムの定義というものがまだまだ漠としている。

 また、今海賊について定義を述べられましたが、海賊は、国連海洋法条約第百一条において定義されていて、公海上の不法行為のことをいい、これもかなりばくっとしているということでありまして、今テロリストは除去されているんだというお話だったので、では実際何名なんですかと先ほども伺いましたし、特にアフガン、パキスタン国境は二千キロでありますので、実はこの陸上部を通じてのテロリストの移動、あるいは特に麻薬、ケシの移動というものの方が多いのではないかという指摘もあるものですから、OEF・MIOの実態、効果、検証、これについてやはりもっともっとつぶさにその成果を出していただく必要があるというふうに考えるわけでございます。

 ちなみに、今お手元のこの表でございますが、航行中、この六年間で十四件、日本関係の船舶が被害を受けております。航行中の被害十四件。航行中の被害を受けた全船舶七百八十八件のうちの十四件。うち、インドネシア沖が七件、マラッカ海峡沖が四件ということでございまして、インド洋というものは、日本船舶の海賊及び船舶に対する武装強盗事件等の被害は、航行中は、この六年間は受けていないということをお伝えさせていただきたいと思います。

 そこで、次に移らせていただきますが、テロ特措法に係る日米交換公文、一ページ目にお戻りをいただきますと、政府は盛んに、交換公文でテロ特措法の趣旨に沿って使ってくれるように言っているから信頼している、大丈夫だ、このように言うわけでありまして、実は、日米あるいは米国を入れた十一カ国と結んでいるこの交換公文というものが、この新法の審議でも、あるいは旧法と言ってもいいんでしょうか、今月末に失効する法律でも、大変大事な役割を担っているというふうに私は認識をしております。

 そこで、この二項、三項にありますが、事前の同意を求められたことがあるのか、そして三項、書面により通知されたことはあるのか、いずれもお答えをいただきたいと思います。

○高村国務大臣 米国から、御指摘の米国との交換公文の二に基づく事前の同意を求められたことはありません。

 また、米国との交換公文の三に基づく書面による通知については、二〇〇一年十二月からの米国に対する協力支援活動開始に先立って、同年十一月二十八日付で、バーレーンにある我が方大使館から同地の米大使館に対して口上書を発出し、第五艦隊司令部への伝達を要請いたしました。

武正委員 つまり、これは同意を一回も求められていない、だからこそ転用、移転がないんだという二項、それから、書面によってちゃんと条件を日本政府は通知しなきゃいけないというふうに書いてあるんだけれども、一回しかやっていない。

 例えば、これは、イラク戦争が平成十五年三月二十日でありますので、その開戦の前などに、今、一回、テロ特措法が施行された直後に書面は出したけれどもそれ以後出していないということでしたが、当然、やはり外務省とすれば、イラク開戦の前に書面で、テロ特措法以外に使っちゃだめですよという念押しを、三項に書いてあるわけですから、書面でやるべきだったというふうに私は思いますが、なぜそれをやらなかったのか。口頭ではやっているやっていると言いますが、せっかく交換公文にこのことが盛り込まれているのに一回やったきりでやっていないというのは、私はやはりいかがなものかと思いますが、大臣の御所見を伺います。

○高村国務大臣 一回きっちり口上書で、書面でやったら、同じことを何度も何度も、何か特別の疑いでも出てくれば別ですよ、そうでない限り、何度も何度もやる必要ないんじゃないでしょうか。

 ただ、そのかわりに、交換公文の調整の過程や、その後行われた協議の場において、米国に対してはテロ対策特措法の趣旨、補給実施の要件等について繰り返し説明し、米側としてもこれを十分に理解しているということでありますし、油を補給するときに、バーレーンにおいて海上自衛隊の連絡員が、OEF、OEF・MIOに参加する船ですねということを確かめて、これから何日間それに従事するんですかということまで確かめて、それに見合う範囲内でしか油を上げていないということまでやっているんですから、それ以上必要だとは思いません。

 特別な疑惑が出てきたときにそれを聞くとか、そういうことはまた別の話ですよ。ふだん事前にやっていく、同盟関係の信頼関係に立って、そこまでやればいいんじゃないでしょうか、と思います。

武正委員 この後触れる第四回の調整委員会、二〇〇二年十一月十二日、第五回調整委員会、ここの二回の調整委員会ではテロ特措法の趣旨の徹底などを求めていますが、第一回から第三回の日米の調整委員会ではそういった記載も、外務省作成のペーパーにはなかったわけであります。

 ですから、このテロ特措法の趣旨の徹底ということでは、特に私ども国会で問題視している、イラク開戦の前にはやはり文書で、書面により徹底を図るべきであった、これは私の指摘とさせていただきます。

 そういう意味で、この交換公文、新法でも結ばれる、そういう制度設計だと思いますが、この交換公文については、改めて、その文書の中身、あるいは検証の仕方など、大変大事な役割があるということを指摘させていただきます。

 交換公文については指摘にとどめておきますが、続いて、二〇〇六年六月二十三日に、日米相互防衛援助協定に基づく武器及び武器技術に関する交換公文が十二年半ぶりに、昨年七月二十五日、外務委員会に提出をされました。これは、いわゆる大平三原則に基づいて、国会が締結した国際条約等に関して後刻結ばれた交換公文は、重要なものは国会に提出をするということが、ようやく十二年半ぶりに提出をされたわけでありまして、私は、これについては新外務大臣にも国会への提出、報告を改めてお願いしておきたいと思います。

 その次の質問は先ほど触れておりましたので割愛をさせていただきまして、次に移らせていただきます。

 お手元の資料の三ページ目をおあけいただきたいと思いますが、二〇〇三年五月十六日、衆議院安全保障委員会、防衛庁長官答弁、五月八日、海上幕僚部が在日米軍に、内部部局が在日米大使館に確認し、米空母キティーホークへの米艦艇による補給に関するメモを受領したとありますが、お手元の仮訳というものが、リチャード・A・クリステン在京米国大使館首席公使が守屋防衛庁防衛局長にあてた手紙の仮訳ということでありますが、これがそのメモだとすると、このメモに対しての防衛庁からの照会、確認の文書が当然あるというふうに思うんですが、まずは、防衛庁長官が言った、メモを受領したというのはこの手紙のことなのか。そして、この手紙があるのならば、こちらから照会、確認の文書があるはずだが、それはあるのか。あるとすれば御提出をいただきたいと思いますが、防衛副大臣、いかがでしょうか。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 御指摘の在京米大使館公使リチャード・A・クリステンセンという、センがつくそうであります。このリチャード・A・クリステンセン氏からの守屋防衛庁防衛局長に対する文書による回答は、平成十五年の五月七日に行われておりまして、米空母キティーホークへの米艦艇による補給に関する同年五月八日のメモとは別のものでございます。

 なお、平成十五年の五月十六日の衆議院の安全保障委員会におきまして当時の石破長官からも答弁しておりますとおり、文書でこちらから確認したということではないということでございまして、本件につきまして、こちらからの照会文書は確認しておりません。

武正委員 そうすると、防衛局長あてのこの文書というのは、どういう経緯で防衛局長あてに届いたんでしょうか。

○江渡副大臣 お答えします。

 どういう経緯ということで、こちらもいろいろ今調べているところでございますけれども、もしくは口頭か、あるいはいろいろな形で当時聞かれたのではないのかなと思いますけれども、今調査中でございますので、わかり次第お答えさせていただきたいと思います。

武正委員 メモとはまた別だということがわかりましたので、ぜひメモも当外務委員会に御提出をいただきたいと思いますので、いかがでしょうか。

○江渡副大臣 お答えいたします。

 今、提出していただきたいということでございますけれども、当該メモにつきましては、米側との関係で、公表を前提としたものではありません。しかし、今委員の方から御要求がありましたので、この件につきましても十分検討させていただきたいと思います。

武正委員 委員会でも御協議をお願いしたいと思います。委員長の方でお願いいたします。

○平沢委員長 後刻、理事会で協議いたします。

武正委員 そこで、今、こういうやりとりがあるわけなんですが、防衛省が提出された「諸論点に対する防衛省の考え方」十月二十二日付には、「二 給油量取り違え事案について」(五)、五月八日の米軍、大使館への問い合わせが、このやりとりが記載されていないんですが、その理由はなぜでしょうか。今の、クリステンセンさんからのこのやりとりが記載されていないんですが、その理由、お答えいただけますか。

○江渡副大臣 その経緯等につきましては、私もきちんと把握していないので、お答えできる状況ではないわけでございますけれども、その当時においてそこまで詳しく入れる必要があったかどうかというようなこともあったのではないのかなと思いますけれども、この辺のところについても、しっかりと調べさせていただいてからお答えさせていただきたいと思います。

武正委員 この「諸論点に対する防衛省の考え方」というのは十月二十二日付で出ているわけですから、こういったところが漏れているというのは、やはりきちっとまだ調査もできていないし、あるいは、こういったものが開示されていないというのはいかがなものかというふうに言わざるを得ませんので、その点はやはり、私はつくり直しをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、こうした米国とのやりとりについて、特に在京大使館とのやりとりなどは外務省ルートということがよく常とされておりますが、まずは、このクリステンセンさんと防衛局長とのやりとり、これに外務省は関与しているのかどうか。別途外務省が調査をしたというふうに言われていますけれども、どこにこの五月の時点で調査をかけたのか。国務省、国防総省に問い合わせをしたのか、問い合わせをした内容は何なのか。これをお答えいただけますでしょうか。

○高村国務大臣 防衛庁からの問い合わせは、防衛庁から直接在京米国大使館等に行われたというふうに承知をしておりますが、それと別個に、外務省も在京米国大使館より説明を受けております。

 受けた内容は、キティーホーク司令官の発言は、キティーホークが海自から直接給油を受けたのではなく、米軍の補給艦がオマーン湾において海自から燃料を受けたことを指摘し、対テロ戦争における日本政府の支援に感謝している、そういう趣旨を述べたのであるということ、また、これまで米国は、海自から提供を受けた燃料について、テロ特措法の趣旨や目的以外に使用されたことはなく、今後も使用することはない、そういうことについて説明を受けたわけでございます。

武正委員 このときは、二十万ガロン、八十万ガロンという取り違えということも大変俎上に上っていたわけですから、私は、外務省がまず防衛庁に、入力ミスのまま二十万ガロンということで、司令官は八十万ガロンと言っているわけですから、何でこれは数字が違うんですかと、八十万ガロン米補給艦から受けたんだ、それは日本の油ですよとモフィットさんが言っているわけですから、では二十万ガロンじゃないの、八十万ガロンと違うじゃないですか、そういったことをやはり外務省は聞いてしかるべきだというふうに私は思うわけでありまして、テロ特措法の趣旨に沿っているかどうかといったことしか照会していないというのは甚だ疑念を持つわけでございます。

 そこで、ちょっと時間もあれなので、次に移らせていただきますが、お手元のこの資料をごらんいただきたいんです。

 次のページですね、四ページ。これがその取り違えの証拠だというふうに防衛省さんは言うわけなんです。入力ミスです、ペコスに八百十二キロリットル、ポール・ハミルトンに三千キロリットルですよ、こういうふうに言うわけなんですけれども、大体この表が、だれがつくったのか、いつつくったのかというのも書いていない。これをもって取り違えの証拠とされても、そうですかとはなかなか言いづらいわけなんです。

 防衛副大臣、これはいつつくったもので、全部で十二ページだと思うんですけれども、これを見ると十二分の九と書いてありますから、十二ページの中に、例えば作成者の名前とか書く欄があるのかどうか、あるいは記入日を書く欄があるのかどうか、それについてお答えいただけますでしょうか。

 いつつくったのか。そして、全十二ページには記入者名とか記入日を書く欄があるのかどうか。いかがでしょうか。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この作成の方は、今先生の方から御指摘いただいたこの資料、十月十六日の民主党さんの外務防衛部門会議において提示させていただいたものであるわけでございますけれども、当時の海上幕僚監部防衛部運用課の担当者が、海自、海上自衛隊の補給艦による補給の実績について、パソコンソフトを使用して記載したものであるわけでございます。

 この当該資料につきましては、テロ特措法に基づく補給が開始されて以降、給油実績を示したものでありまして、この一ページについては二十件を記載させていただいておりまして、その中において、米空母キティーホークへの給油が問題となった二〇〇三年五月当時、十二ぺージまで入力が行われたところでして、ファイルとして保存したものであるわけでございます。このファイルは、現在残っているものの中で、米補給艦に対する補給が行われた二月二十五日の状況がわかる、その九ページ目というものがその資料でございます。

 それをお示ししたわけでございますけれども、あくまでもこのページにつかれているもの、今御指摘いただきましたけれども、総数で現在七百八十件を超えておりまして、現在四十ページ目まで記録されております。ただし、九月の二十一日にピースデポ等の関係でデータの間違いが判明したものですから、それ以降はこのデータの更新はしておりません。

 また、今御指摘ありましたように、具体的な作成者氏名というものについては記載しておりません。また、当時の海上幕僚監部防衛部運用課の担当者が作成したものであることは事実でありますけれども、いずれにしましても、二〇〇三年当時の作成者につきましては、今回の給油量の取り違え事案につきまして、現在、我が省において鋭意調査中でございますので、氏名等々につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 記入日も書く欄もないということが今わかったわけなんですけれども、記入者名も書く欄もないということがわかったんですが、少なくとも、この十二ページの全資料、御提出をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○江渡副大臣 できるだけ速やかに提出できるように、今努力している最中でございます。でき次第、提出させていただきたいと思います。

武正委員 これも委員会への提出を求めていただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

○平沢委員長 後刻、理事会で協議します。

武正委員 続いて、ページをめくっていただきたいんですが、これは補給艦「ときわ」の航泊日誌、上に日付が順に書いてありますので、それぞれの日の航泊日誌、これは、民主党の外務防衛部門会議に提出をされたものでございます。

 まず一枚目、五ページ目は、これは有名な二月二十五日の、ペコス、上は三千キロリットル、さっきの防衛省のでいうと八百十二キロリットル、それから下のポール・ハミルトンが八百十二キロリットル、これを取り違えたということで、米艦船も名前が出された唯一の今のところの航泊日誌でございます。

 六ページ目は、これは十五年の二月八日のものでありまして、これも予算委員会に提出をされましたが、一二〇三という、これは時間でありますが、十二時三分のところを見ていただきますと、主燃料搭載終了、三千四百六十五キロリットル、つまり、補給艦「ときわ」に三千四百六十五キロリットル補給しましたよと、ちゃんと補給量が出ております。

 続いて見ていただきますと、これは十四年十二月十六日のものでありますが、これは、洋上補給開始、〇八〇〇、〇九二五、一一一四、一四一八、いずれも全部消されておりまして、どの艦船に、しかも、どのぐらい補給したのか、全部墨で消されております。

 続いてごらんいただきますと、これはちょっと上が消えておりますが、十四年十二月二十七日のものでございまして、これは、洋上補給開始の〇七〇九、〇九一〇は墨消しですが、その後、これは、日本艦船だからでしょうか、艦船名と給油量は出ております。一〇二三の以下、「ひえい」「はるさめ」でございます。

 その次、九ページをごらんいただきますと、これは十四年十二月二十九日のものでございまして、〇八四八、主燃料搭載開始、一三五二、主燃料搭載開始、これはいずれも、主燃料を「ときわ」にどのぐらい積んだのかという、その数量が出ておりません。

 防衛大臣は、七百七十七回、悉皆調査をやっておりまして、それが判明次第、しかるべき方法で国会に対して御説明することになりますということなんですが、なぜ主燃料の搭載の量まで消したものを出されるのか、私には理解できないんですが、防衛副大臣、いかがでしょうか。

○江渡副大臣 お答えいたします。

 今、主燃料の供給をなぜ隠すのかという御質問でしたけれども、今回の補給艦「ときわ」の航海日誌の開示に当たりましては、主燃料搭載に係る開始時刻、終了時刻及び搭載量については一応開示しているところでありますけれども、今回提出しておりますこの資料、主要燃料搭載に係る記載は約二十カ所ありまして、そのうちに、具体的に搭載量まで記載しているのは、委員が御指摘に出されました平成十五年の二月八日、終了時十二時〇三分という、ここの一カ所のみでありました。

 私も、まさか一カ所だけではないだろうということで、しっかり調べてくれということで、いろいろ調べさせていただきましたけれども、御提出させていただいた平成十四年十一月二十五日から平成十五年五月二十日までの間では、これ以外ありません。

 なお、この航泊日誌におきましては、主燃料の搭載量については、必ずしも記載するべきということではございませんので、たまたまこのときに書かれたということではないのかなというふうに私は判断しているところでございます。

武正委員 艦船名が墨消しで出ているのは、多分、米国への照会が必要だということなんですが、防衛大臣が全部やりますよと言っていながら、この十月十日の予算委員会でしょうか、もう二週間を経過しているんですが、出てくる資料は相変わらず艦船名が出ていないんですけれども、これはまだまだこうした傾向が続くのかなというところを大変危惧いたします。

 外務大臣、国会に対して、こうした一々の調査に、米国はいら立っているという冒頭の発言がありましたが、私どもは、こうした、どの船に給油をしたのか、これを一件だけ、ペコスとポール・ハミルトン、その一日しか公表されないということでは、やはり国会として、この六年間の検証について十分な検証ができないというふうに考えるわけなんです。

 ですから、これは特に外交ルートで、国務省あるいは国防総省ということが、防衛省が検証するについても外務省が果たしている役割が大きいというふうに聞いておりますので、やはり外務省として、艦船名をオープンにすること、これについて特段の御努力をいただきたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

○高村国務大臣 給油を受けた外国艦船に関する情報につきましては、関係する部隊等の安全や円滑な活動の確保に支障を来す可能性、関係国との信頼関係を損なう可能性等を考慮し、公開の可否を判断する必要があります。

 米国政府は一般的に、米国の作戦行動上の安全に係る情報について開示できない立場であると承知しておりますが、政府としては、米国の理解も得ながら、可能な限り積極的に情報を開示していきたい、こう考えております。

武正委員 ペコス、ハミルトンは公開できたわけですから、公開できないことはありませんので、やはりそこで外務省の果たす役割というのは非常に大きい。あだや、防衛省がその実態を開示したいところに外務省がそれを阻むようなことがあってはならないということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○高村国務大臣 私自身、ライス国務長官に、情報開示が必要である、米国内で情報公開法に基づいて公開しているようなことを日本国政府に教えられないなんということはあってはならないことだということを直接申し入れまして、そして、もうそういうことはないようにする、できるだけ日本政府に知らせるという了解は得てきたところでございます。

 ただ、抽象的に得たことと、具体的に本当にどれだけ返ってくるかというのは、またこれから相当の努力が必要だ、そういう努力はしていきたい、こう思っています。

武正委員 日本の航泊日誌ですから、主体的に御公開をお願いいたします。

 ありがとうございました。
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