後援会
 

会報11号 

1996年6月発行

■巻頭言
新年度も宜しくお願い申しあげます。
平成七年の四月三十日から始まった四年間の県会議員としての任期も、ちょうど一年過ぎたところとなりました。 この一年間を振り返りますと、日本の、埼玉の、浦和の問題点が県議会に入ってより鮮明になりました。

まず、政府が決めたから、中央の省庁が決めたから、埼玉県でもやるんだという「お上存在」「右のならえ」が残念ながら見られることです。
地方分権の中間答申が出されても県庁や県議会はともに意識改革はこれからだなと感じました。 それは、議会や委員会の質問や答弁に「国の動向を見極めてから」という言葉が出てくる事に表れています。

次に、質問原稿を役人の方に書いてもらった議員さんがいるとかいないとかいうように、情報を持っている官僚機構と並び立ち、役人さんを説得できるだけの議員が少ないんだなということです。
今回の「もんじゅ」「住専」「HIV」はいずれもが、組織を守るために事実を隠したことが批判を浴び、不信感を増したことを思うと、情報の公開や開示は官民問わず今後は大原則と考えます。
この大原則のもと、情報を収集し、分析するスタッフや仕組みを充実させて、はじめて、国、地方を問わず議会の政策立案能力が高めていきたいと考えます。

いま、私が危惧するところは、政府や地方自治体を問わず、その財政の展望についてであります。
土屋俊夫さんが「増税なき財政再建」を目指し、いわゆる赤字国債の発行をゼロにしてから七年ぶりに今年度、政府は赤字国債の発行に踏切り、その国債発行残高は二四一兆円になり、返済と利払いの額は予算の二割を超えています。
一方、地方自治体の借金も一二〇兆円を越え、埼玉県も一兆五千億円を越えました。  
福祉を含めた生活基盤整備を今やらなければならないことを踏まえつつも、現在の国会や地方議会を見ている限り、各省庁や各部局を説得できる議員が増えてこないと、そして、行財政のシステムの新たなる発想に立った改善に着手し始めないと、二一世紀の国、地方の財政を含めた活力はうまれないと考えるからです。

表紙の写真は二月二三日に母校を訪れた若田光一さんと撮影したものです。
当日は、在校生を対象にスライドを交えた講演、質疑応答の後、一緒に弁当を食べる機会を得たわけです。
特に印象に残ったのは、「シャトルから地球を見たときに真っ黒な宇宙と地球との間に広がった空気の層の何と美しいこと」「六名の飛行士でチーム(STS72)を構成した最初の作業がシンボルマークを作ることで、チームの目的と六名の出身地をデザイン化したこと」の二点でした。
既に二〇〇〇年の宇宙ステーション計画に向け始動している若田さん。
夢を持ち、その実現に、国際的に堂々と活躍する日本人が一人一人増えていく中、二一世紀の埼玉を方向付ける年となる平成八年度。二年目を迎え「日々新たなる」思いを持ち全力で活動を進める所存です。
新年度も宜しくお願い申しあげます。(武正 公一)

■たけまさ公一近況報告
【一年ぶりの神戸訪問】
一年ぶりに、神戸を訪れたのは、私が幹事を務める「松下政経塾地方議員の会」の総会に参加するためでした。
現地の区画整理の現状や災害時の病院の役割、特に「心のケア」についての話などを踏まえ、下のような「神戸アピール」を採択しました。
当日は、松下政経塾の新井正明理事長、宮田義二塾長、逢沢一朗代議士、吉田治代義士を交えてのディスカッションでは「いざというときに国が役に立たないこと」「神戸市が五〇〇〇億円の基金を取り崩しながら復興を行っていること」が取り上げられました。

神戸に戻り、レンタカーを借り、ちょうど一年前に尼崎の電気工事業の方と一緒に回ったところをそれぞれ見て回りました。
県立兵庫高校は、震災後約三〇〇〇人の方が避難生活を送っていた場所で、テント生活が行われていたグランドを見ると当時の様子が思い起されました。
仮設住宅の脇でテント生活をまだ行っていた荒田公園など町中を見る限り、震災から一年がたちましたが、まだまだ、痛手は大きいと受止めるとともに、戦後の復興がいかに大変であったかを察するところでした。(武正)

■松下政経塾地方議員の会
【神戸アピール】
1. 一刻も早い市民生活の復興が必要であることから、災害復興にあたる都市基盤整備事業については各地方議会にてその問題点の理解に務めるとともに、各種の規制緩和を含め、特別措置として柔軟かつ迅速な対応を図ることを、政府・国会に働きかける。

2. 兵庫県より提案された「住宅地震災害共済保険制度」については、地震国日本として、社会保険のうちの住宅保証の観点を踏まえ、早急にその内容に検討を加えて実現を図るべきものと考え、各地方議会にてその趣旨の理解に務めるとともに、政府・国会に働きかける。

3. 阪神・淡路大震災の経験から、各地方の実情に応じて、特に以下の六点について配慮した災害に強いまちづくりを推進するとともに、激甚災害対策に関する基本法の制定を含め、必要な条件整備について政府・国会に働きかける。
 (1)自主防災組織の強化と活動条件の整備。
 (2)ボランティア意識の高揚とボランティア・コーディネーション機能の強化。
 (3) 災害拠点病院の確保及び広域的ネットワークの形成。
 (4)災害後の心のケアに関する研究。
 (5) 災害時の緊急輸送手段の確保。 災害時及び復興にあたっての政府機関・自治体等の連携体制の強化。

■たけまさ公一だより
約一兆七三〇〇億円にのぼる平成八年度一般会計予算をはじめ、総額約三二億円の二月補正予算、県青少年健全育成条例や県屋外広告物条例それぞれの改正、等を中心に一ヶ月の審議が行われました。

(1) 会派の代表質問 松下政経塾地方議員の会が神戸アピール(上記参照)で取上げた「地震共済保険制度の創設」。
一兆五〇〇〇億円を超えた県の債権については、これまでの行政改革とは発想を変えて、県税収入増を含めた「行財政のシステムの改善」。
具体的に、機構の見直しでは生活福祉部と衛生部のなかで「健康」を扱う部門の統合。また、本年度策定の兆期ビジョンの持つ重要性について。さらに、第三次埼玉県地域保健医療計画の策定については「保健、医療、福祉の融合を進めること」など。
それぞれ取上げることができました。

(2)企画財政総務委員会 県債発行の内、将来、地方交付税の見込めるいわゆる「有利な県債」の占める割合について(約七割)。
また、監査制度については、四名の監査委員以外に、地方自治体の監査を外部の第三者機関にも委ねることについて。
私から、質問する一方、委員会では、県長期ビジョンの骨格を六月に予定されている知事選挙の公約との整合性を図るためにも、知事選挙前に明らかにするべき事や、県の行うサービスはどこまでなのか、行政が関わる限界、行政の守備範囲について特に議論がありました。
これは、平成二年度の第二次行革審の最終答申で今世紀末の国民負担率(税金、保健、年金など)を四五%以内とうたいましたが、少子化や雇用の確保や経済の活力を考えたとき、バブル経済崩壊の今こそ「小さな政府」「小さな地方自治体」を目指さなければならないということが問われているからです。

(3)都市・産業整備対策特別委員会 埼玉県から提出された「産業戦略」について取り上げ、産業振興は県税収入に大きく寄与するところをふまえ、特に他の部局との連携については事前にどこまで行われたのかという事を質問しました。
そして、辞を低くして企業の現場をもっと回るべきであることを強調した次第です。

(4)平成八年度の所属委員会 二年目を迎え、常任委員会は生活福祉衛生委員会(細田米蔵委員長・戸田市)、特別委員会は公社事業特別委員会(秋谷昭冶委員長・幸手市)と長期ビジョン特別委員会(本木欣一委員長・狭山市)に所属いたしました。
生活福祉衛生委員会は、生活福祉部と衛生部が所管ですので、私の公約である「医療・福祉・保健の融合したまちづくり」に向け、特に第三次埼玉県地域保健医療計画の見直しの年にあたり希望し、両特別委員会も公社事業の経営と二一世紀の埼玉を展望する総合計画ということではりきって臨みます。

■都市政策研究会総会
平成八年二月二三日(火)、都市政策研究会の平成八年度総会がさいたま共済会館五〇二号室において開催された。
議案は
(1)平成七年度事業報告
(2)平成七年度決算報告
(3)平成七年度事業収支計画案
(4)平成八年度事業計画案
が提出され、慎重審議の結果原案通り可決された。

(3)(4)の一括議案上程の中、新開代表幹事により議案にこめられた趣旨と会員へのお願い事項を述べた。
趣旨としては、平成七年より、事務所運営費について調査し、できる限りの合理化を試みた結果、成果を上げてきた。それでも事務所を円滑に運営する収支にはいたっていない。

お願い事項として
[ア]会員中でできる方は会費口数のアップして頂きたい
[イ]会員になって頂ける方の紹介や事業への積極的な参加と呼びかけにより会員を増して頂きたい。  「会員の皆様の切なるご協力をお願いいたします」
と締めくくられた。

事業計画としては著名な講師を招き企業研修会「政治と経営の接点を探る」三回シリーズとして行う(七月、九月、一一月予定)。
また、会員の親睦と会員の募集を兼ねた「食と文化を楽しむ会」を月一回の割合で六回おこなうことになった。

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