【衆院外務委】北朝鮮の核実験を受けて質疑に立つ「毅然たる対応を」
衆院外務委員会の閉会中審査が14日に開かれ、北朝鮮による5度目の核実験を受け、抗議する決議(以下PDF参照)を全会一致で採択した。民進党から質問に立った武正公一議員は、北朝鮮による核実験と類似の21発の弾道ミサイルの発射、拉致被害者と特定失踪者の総括的な調査などを約束したストックホルム合意の破棄といった一連の北朝鮮の動きに対し満身の怒りを表明し、政府に毅然たる対応を求めるとともに、国会としての毅然たる対応を示す必要があると述べた。
北朝鮮が今年に入り2回の核実験実施と21発の弾道ミサイルを発射したことを受け、岸田外務大臣は「北朝鮮の挑発行動は新たなレベルに入ってきている。エスカレートしているとの認識は強く持っている。国連決議にも日朝平壌宣言にも反するものであり、挑発行為に対する代償を感じてもらわないといけない。圧力を一層強めていかなければならない」と指摘。米国、韓国、中国がそれぞれ非難、糾弾、断固反対の意を表明したこと、国連安全保障理事会(安保理)がステートメントを発出し新たな制裁を含む新しい決議の採択に向けて議論を開始することで一致したことを説明し、「わが国として核、ミサイル、拉致の諸懸案の解決のために最も効果的な対応はどうあるべきなのかという観点から国際的な動きも見ながら独自の制裁、対応についても検討を行っている状況だ」と述べた。
武正議員は、今年1月の4回目の核実験の際には安保理の決議(2270号)採択までに2カ月を要したことから、「速やかな採択、厳しい取り組みをお願いしたい」と要請。岸田外務大臣は、この決議の履行をしっかりと確認することが重要だと強調、安保理の下に設置されている北朝鮮制裁委員会(1718委員会)や専門家パネルに各国が2270決議の履行状況を報告する仕組みになっているとして、「北朝鮮制裁委員会に協力する形で2270決議の履行状況をしっかり確認していきたい」と述べた。
武正議員は、北朝鮮貿易の9割が中国であることや1月の安保理決議の際には原油の供給停止の米国提案に中国は賛成しなかったことなどに触れ、「制裁決議の履行の担保や検証が鍵を握ってくると思う。制裁決議に関する中国の影響は大きい」と指摘。岸田外務大臣は「北朝鮮問題に関して中国の役割は大変大きいものがあると認識している。中国はすでに北朝鮮制裁委員会に2270決議の履行状況について報告を行っており、報告内容等を注視しながら、さまざまレベルで意思疎通を図りながら中国に責任ある安保理常任理事国として役割を果たしてもらうべく働きかけを続けていく」などと応じた。
武正議員はまた、2012年に締結直前までいきながら韓国側の事情で突如延期された日韓軍事情報包括保護協定(日韓GSOMIA)を取り上げ、その必要性をあらためて強調。岸田外務大臣も「北朝鮮の核ミサイル問題の対応のためにも日韓の協力は大変重要だと認識している。日韓GSOMIAの早期の締結を進めていきたい」と述べた。
武正議員は最後に、今回のような北朝鮮に対しては毅然たる対応、日本あるいは国際社会や国連決議の有効性を担保していくさまざまな取り組みを行っていくと同時に、核なき世界への取り組み、核抑止については2014年以来開かれていない軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)の開催を含めて唯一の戦争被爆国として堅持をしていくべきだと求め、質問を終えた。
<民進党ニュースより>