【衆院倫選特】選挙権年齢引き下げへ公選法改正案可決
衆院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会が2日午後開かれ、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる公職選挙法改正案の採決が行われ、全会一致で可決した。採決に先立つ質疑では、民主党の福島伸享議員が質問に立った。
福島議員は、選挙権年齢引き下げの議論は進んでいるが、公職選挙法の改正によって選挙権を得ることになる肝心の高校生には認知度が低いとして、主権者教育の重要性を指摘した。教育基本法第14条第2項の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するために政治教育その他政治的活動をしてはならない」との定めが主権者教育を制限する根拠とされていることについて、「確かに学校が特定の政党を支持したり反対する政治教育をするのは問題だが、そもそも政治的活動とは何か」と質問。「具体的な事象に即して判断する」との文科省の答弁に、福島議員は「そのあいまいさが主権者教育の障害になり得る」と述べた。
また、1969年の文部省初等中等教育局長通達「高等学校における政治的教養と政治的活動について」を取り上げ、根本的に見直すべきとの考えを示した。特に、通達に「生徒が政治的な活動に走ることがないよう充分指導を行わなければならない」とある点について「政治活動は非行と同じような扱いをされている」と指摘。「模擬投票を実施することなどばかりでは政治的教養を高めることにはつながらない」「政治的に中立な意見などない。違う考えがあるなかでそれぞれを尊重しながら自分の意見を言いながら平衡感覚をとっていくことが政治的な中立性を保つことである。無菌培養のように主義主張も何もないなかで、単に模擬投票をやることが政治的中立性を涵養するとは思わない」と主張。「異なる価値観の対話を通じて、どこに真ん中・中庸を見出して行くのかが政治的教養だと思う。異なる価値観を認める、その価値観のぶつかり合いのなかで何かを作り上げて行くのが政治教育で一番重要だ」と語り、教育現場で行われる政治教育、政治的中立性とは何かについて文科省任せにせず政治家が定義づけをしなければいけないと問題提起した。
この点に関して問われ、民主党案提出者で与野党9会派のプロジェクトチームの座長代理でもある武正公一議員が発言し、「政治的中立性の名のもとに禁止が許されるとすれば、それは教員の地位利用による特定の政党支持の強要なようなものに限られるべき」だと述べ、法案成立後の施行までの1年を通じて立法府が主体的に準備を行っていくこ とが必要だと語った。与党・自民党の船田議員も「何事も色をつけないことが政治的中立性であったために、これまで有意義な政治教育ができなかった」旨を発言。純粋培養が政治的中立ではないという立場に立って主権者教育を行うとの考えを示した。 福島議員はまた、選挙権年齢引き下げを周知するための全政党を挙げてのキャンペーン、被選挙権引き下げ等の問題も取り組んでいくよう提案した。
民主党広報委員会