【衆院本会議】来年度国税改正法案と消費税影響緩和法案に質問
衆院が14日に開いた本会議で、2013年度税制改正を盛り込んだ政府提出の所得税法等改正案と民主党が提出した「消費税率の引上げが国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響を踏まえ早急に講ずべき措置に関する法律案」(消費税影響緩和法案)の両案の趣旨説明と質疑が行われた。
消費税影響緩和法案の趣旨説明(PDFダウンロード参照)を行った古本伸一郎衆院議員は、民主・自民・公明の3党が社会保障・税一体改革の残された課題について年明け早々から協議を行った結果、民主党が主張する消費税引き上げ対策のうち一部は政府の13年度税制改正案に盛り込まれたものの、残りの課題は14年度税制改正に先送りされたとし、「消費税引き上げによる国民生活や経済への影響を考えれば対策は急務であり、残された課題を解決する観点から本法案を作成した」と述べた。
法案では(1)逆進性対策については14年度以降本格的な対策導入までの間は「簡素な給付措置」で対応し、本格的な対策の結論を14年度までに出す(2)医療機関の損税問題については医療機関等での高額投資にかかる消費税の負担に対する措置等について13年末までに結論を出す(3)住宅対策については住環境の変化や需要の変化等も踏まえつつ、中・低所得者の負担緩和のための給付措置について速やかに対象者・金額等を具体化する(4)自動車対策については自動車取得税を14年3月末に廃止、自動車重量税は「当分の間税率」を14年3月末で廃止するとともにさらにグリーン化を進める、都道府県・市町村の財政に影響を与えないよう措置する――などとしている。
政府案と民主党案に対して民主党の武正公一議員が質問に立ち、「社会保障・税一体改革では、社会保障の機能強化とその財源としての消費税率の引き上げという両輪による財政健全化を目的としていたが、安倍総理の施政方針演説に年金という言葉がなかったように、社会保障の議論が置き去りになっているのではないか。これでは消費税を引き上げて公共事業費を増額したと国民が受け止めかねない」と安倍総理の見解を質した。
安倍総理は「消費税の引き上げを含む一体改革は社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成をめざす改革で、引き上げ分は全額社会保障の充実と安定化に向け、社会保障給付として国民に還元する。公共事業に当てることはない」などと答えた。
武正議員はまた消費税の逆進性対策に関して「与党は複数税率の検討を行っていると聞くが、複数税率では高額所得者ほど負担軽減額が大きくなる、対象品目の選定が利権に結びつきやすい。民主党としては真に必要な世帯に支援が行きわたる給付付き税額控除の方が望ましいと訴えてきたが、1年後に迫った今、せめて8%段階では簡素な給付措置での対応が現実的だ」と述べて、具体策の検討を急ぐよう求めた。
麻生財務大臣は「3党協議で低所得者対策については引き続き協議を行うとされており、簡素な給付措置の具体的内容についても与党間、3党間の議論を踏まえ検討していく」と述べるにとどまった。
民主党案に対する質問には提出者の鷲尾英一郎、玉木雄一郎両議員が答弁に立った。
消費税率の引上げが国民生活及び我が国の経済に及ぼす影響を踏まえ早急に講ずべき措置に関する法律案趣旨説明
民主党総務委員会