【衆院社保・税一体改革特委】地方公聴会(第1班)を福島市で開催


衆院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(中野寛成委員長)は4日、地方公聴会を福島市と神戸市で開催した。福島市の公聴会には中野委員長のほか民主党から武正公一、和田隆志の両理事、江端貴子、岸本周平、田嶋要、田中美絵子、早川久美子、三村和也の各委員と野党の理事・委員計18人が参加し、福島県内の自治体、労働団体、保育団体、経済団体、医療団体の関係者など8人の意見陳述人から社会保障と税の一体改革関連法案に関する意見を聞いた。

意見陳述のなかで、鈴木和夫・福島県白川市長は「誰しも現状財政健全化の必要性や社会保障の充実を否定しないが、消費税の議論に偏りすぎていないか。社会保障の相当部分は地方が現物給付・マンパワーなどの形で負担しているが、税源の配分はどうなのか。デフレの中での増税は果たして妥当なのか」などと問題提起した。

今泉裕・連合福島事務局長は、主に年金制度改革について「少子高齢化で年金受給者が増える一方、非正規雇用の増大などで制度の支え手が減少している。賦課方式を基本とする年金制度の持続可能性に大きな影響が生じており、改革が必要だ。今回の改革で安心と信頼の年金が完全に構築できるとはいえないが、その第一歩として確実に改革を進めるべき。さらなる改革へ向けて与野党が発展的な議論をしていってほしい」などと賛成意見を表明した。

古渡一秀・特定非営利活動法人全国認定こども園協会副代表理事は「福島県では震災後、人口減少にもかかわらず乳幼児保育のニーズは高まり、ミスマッチが生じている。幼稚園と保育所の制度をそのままにしての運用改善では通用しない。福島で起きていることは5年後に日本全体で起きること。関係団体の利害を超えて親の視点、こどもの視点で共通項を見いだし、必要なところに早く財源をつけてほしい」などと子ども・子育て支援法案や総合こども園法案の早期成立を訴えた。

瀬谷俊雄・福島県商工会議所連合会会長は「国債の格下げの動きは日本の財政に対する不信認だ。高度成長が戻ってくるなら別だが、ほとんどゼロ成長が続く中では、今回提案されている消費税で考えるしかない。今やらなければ国債金利の急上昇で金融機関の経営不安、金融システム不安などを招きかねない。経済人としてはそう考える。細かい点にとらわれず大きな目的のために尽力してほしい」などと税制抜本改革を支持した。

轡田倉治・福島県商工会連合会会長は、小規模零細企業の代表として「なぜいま消費税なのか。その前にやることがたくさんあるのではないか。まず国民の理解が得られているのか。歳出の仕方が無駄がありすぎる。デフレの脱却と景気回復をまず最初にやっていただきたい。とにかくこの状況で消費税を上げることは商工会としては絶対に反対だ」などと訴えた。

金田宗税理士は「行政改革や景気対策など先にやらなければならないものがいっぱいある。益税の解消など消費税法の見直しも必要だし、租税特別措置の整理で財源はかなり出てくるはず。こういうことを先行させて、その過程で消費税のアップなら反対はしない」などと述べた。

意見陳述人に対する質疑では、田嶋委員は被災地の復旧・復興を支援する観点から住宅建築に重い負担とならないようにする方策、中小零細事業者が税率アップ分を円滑に価格に転嫁できるようにする仕組みについて、岸本委員は低所得者対策として軽減税率と給付付き税額控除の評価、簡易課税や免税点制度の見直しによる益税解消についての意見などを尋ねた。

民主党広報委員会